アルプス電気は「CEATEC JAPAN 2017」で、VR(仮想現実)でよりリアルな感覚な再現できる独自のハプティクス技術や、9軸センサー内蔵の野球ボールを投球するデモを披露した。
アルプス電気は「CEATEC JAPAN 2017」(2017年10月3〜6日、幕張メッセ)で、入力操作に応じて振動や力覚を手に加える、フォースフィードバック技術を応用したデモや、9軸センサーモジュールを内蔵した、トレーニング用の硬式野球ボールを使ったデモなどを行った。
アルプス電気は、フォースフィードバックを応用した独自技術「ハプティック トリガープラス」を手掛けている。同社は、アクチュエーター制御によって指に力覚を加える「ハプティック トリガー」と、振動させるデバイスである「ハプティック リアクタ」などを提供しているが、これらを融合したものに静電センサーを追加したものが「ハプティック トリガープラス」である。静電センサーを追加することで、指先の動きをセンシングできるようになり、VR(仮想現実)操作時におけるリアリティーを高めることができ、より没入感のあるVR操作体験ができるようになるという。
デモでは、ハプティック トリガープラスと、ヒーター、ペルチェ素子を搭載したコントローラーを使ったVRシステムを披露した。ディスプレイに、氷が入ったカップが表示されるとコントローラーが冷たくなり、カップが火にかけられるとコントローラーが熱くなる。イヌを触っている感触を再現するデモでは、短い振動を一定間隔で手に加えることで、イヌの「トクントクン」という鼓動を再現していた。
9軸センサーモジュールを内蔵した硬式野球ボールは、アクロディアから販売される「TECHNICALPITCH」という製品で、アルプス電気が開発した9軸センサー(3軸加速度センサー、3軸地磁気センサー、3軸ジャイロセンサー)モジュールの他、Bluetoothチップとボタン電池を内蔵している。

9軸センサーモジュールを内蔵した野球の硬式野球ボールを来場者に見せていた(左)。右はボールの中身。センサーモジュールはカスタマイズ品である。「時速160kmで投げられても壊れないようにするのが大変だった」(アルプス電気) (クリックで拡大)このボールを使うと、球種(ストレート、カーブなど)、球速、回転数、回転軸の向きのデータを取得できる。スマートフォンとペアリングし、専用アプリを使うことで投球の分析を行うことができるようになる。
ピッチャーが投げるボールの速さには、ボールの回転数が大きく関係している。回転数が多いほど、ボールが空中を飛んでいる間の空気抵抗が少なくなり、球速が落ちにくくなるからだ。回転数を分析することがピッチャーのトレーニングにとって重要になるわけだが、アルプス電気によれば、回転数を分析する既存の装置は1000万円クラスと非常に高価だという。
TECHNICALPITCHを使うことで、より低コストに回転数の分析を行えるようになる。プロ野球選手だけでなく、社会人や学生など、アマチュア選手でも利用できるとアルプス電気は説明する。
今回は野球ボールだったが、9軸センサーモジュールの応用例は幅広く考えられる。サッカーやゴルフなどのスポーツはもちろん、松葉づえへの体重のかかり方を計測するといったメディカル分野で活用できる可能性もある。アルプス電気は、「IoT(モノのインターネット)技術は、トレーニングやリハビリの分野にも浸透しようとしている」と説明した。
手に乗せた“バーチャル心臓”が鼓動する! ホログラムを医療現場へ
力触覚通信を35mm角のボードで実現
SiCとリカロイで電力変換モジュールが従来比1/3に
技術の「染み出し」が武器に、圧倒的な製造力で勝負するアルプス電気
好調 アルプス電気の「これから3年」を聞く
横幅0.6mmの非球面ガラスレンズ、アルプス電気Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング