FAとITの協調を目指しコンソーシアム設立:エッジ用基本ソフト仕様策定へ
2017年11月6日、三菱電機、NEC、オムロンなど6社は2017年11月29日にFA機器とITシステムの連携を容易にするソフトウェアプラットフォームの構築、普及を目指す団体「Edgecross(エッジクロス)コンソーシアム」を設立すると発表した。
2017年11月6日、三菱電機やNEC、オムロン、アドバンテックなど6社は、FAとITの協調を目指したオープンなエッジコンピューティング領域ソフトウェアプラットフォームの仕様策定などを行う団体「Edgecross(エッジクロス)コンソーシアム」を設立すると発表した。設立予定日は2017年11月29日。
同コンソーシアムは、「企業、産業の枠を超え、エッジコンピューティング領域を軸とした新たな付加価値創出を目指す」を設立趣旨とし、グローバルでのIoT(モノのインターネット)化や、政府が提唱する「Society 5.0」とSociety 5.0につながる「コネクテッドインダストリー」の活動に寄与することを目指すという。
コンソーシアムの発起会社として、アドバンテック、オムロン、NEC、日本アイ・ビー・エム、日本オラクル、三菱電機の6社が名を連らね、発足後、幹事会社としてコンソーシアムの活動を推進していく。同コンソーシアムへの賛同企業は幹事会社6社を除き、現在45社を数えるという。
設立発表記者会見には顧問の東京大学名誉教授の木村文彦氏(写真右)をはじめ、設立発起会社6社の幹部が出席した。写真左から、アドバンテック社長兼日本地区最高責任者マイク小池氏、オムロン執行役員副社長インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長宮永裕氏、NEC執行役員松下裕氏、日本IBM常務執行役員事業開発バリュー・クリエーション担当松永達也氏、日本オラクル執行役員クラウドソリューション営業統括竹爪慎治氏、三菱電機常務執行役FAシステム事業本部長宮田芳和氏
設立後、当面の活動は、ソフトウェアプラットフォーム「Edgecross」の仕様策定が主となる。Edgecrossは、基本ソフトウェアであり、生産設備ごとの技術要素の差異を吸収するとともに、生産現場の各種データを整理、一元管理しITシステムでの利用を容易にする役割を果たすという。同コンソーシアムの顧問を務める東京大学名誉教授の木村文彦氏は「Edgecrossの特長は6つある」とする。木村氏が挙げた6つの特長は以下の通り。
- リアルタイム診断とフィードバック
- 生産現場に近い場所でデータ分析、診断し、生産現場へのリアルタイムなフィードバックを実現。
- 生産現場をモデル化
- 生産現場の膨大なデータを階層化、抽象化して管理し、人やアプリケーションによるデータ活用を容易にする。
- 産業用PC上で動作
- FAとITシステムのシームレスな連携
- クラウドを含めたITシステムとのシームレスなデータ連携によりサプライチェーン、エンジニアリングチェーンの最適化を実現。
- 多種多様なアプリをエッジ領域で活用
- ITのアプリケーションを容易にFA用途へ適用可能。エッジコンピューティング領域で完結したシステム構築を実現。
- 生産現場のあらゆるデータを収集
- ベンダーやネットワークを問わず、各設備、装置からデータを収集できる。
同コンソーシアムの設立準備委員会によると、11月29日の発足後、「システムコントロールフェア 2017」(2017年11月29日〜12月1日)、「スマート工場EXPO」(2018年1月17〜19日)といった展示会に出展し、Edgecrossの認知向上を図るとともに、Edgecrossの仕様策定を行い、2018年春には「Edgecrossの販売をスタートさせたい」(設立準備委員会)とする。「Edgecrossはオープン」(同)としつつもEdgecross自体はコンソーシアムが有償で販売し、仕様についても「コンソーシアム参加企業を対象に公開する」(同)としている。
- 「e-F@ctory」、次世代のものづくりを提案
三菱電機は、「第20回 組込みシステム開発技術展(ESEC 2017)」で、FA-IT統合ソリューション「e-F@ctory」をコンセプトに、C言語コントローラや関連するパートナー製品などを展示した。
- ポケットサイズのPLCでインダストリー4.0を加速
Maxim Integrated Products(マキシム・インテグレーテッド・プロダクツ)が発表したPLC(プログラマブルロジックコントローラー)開発プラットフォーム「Pocket IO」は、ポケットに入ってしまうほど小型な点が特長の1つだ。従来品の「Micro PLC」に比べてサイズは5分の2になっている。消費電力は30%低減された。
- エッジコンピューティングに注力するNXP
クラウドの負荷を低減し、ネットワークの高速化を図るべく、エッジコンピューティングへの注目が高まっている。NXP Semiconductorsは、高度なエッジコンピューティングやネットワーク仮想化を実現すべくチップ開発に取り組んでいる1社だ。
- IoTの効果を高める「エッジ」とは何か
産業向けIoTを実現できれば、機器のダウンタイムを短縮でき、効率的な保守管理が可能になる。運用コストの大幅な低減だ。そのためにはセンサーとクラウド以外にも必要な要素がある。Hewlett Packard Enterpriseの責任者に聞いた。
- FPGAが可能にするIoTエッジコンピュータ
PALTEKは、「第6回 IoT/M2M展【春】」で、「FPGAを用いたIoT(モノのインターネット)エッジコンピューティング」や「インダストリアルIoTパッケージ」などのデモ展示を行った。
- 「Synergy」欧州でも手応え、FA向けIPも追加予定
ルネサスは、現在ドイツ・ミュンヘンで開催されている「electronica 2016」(2016年11月8〜11日)で、IoT(モノのインターネット)/組み込み機器向けの設計プラットフォーム「Renesas Synergyプラットフォーム(以下、Synergy)」のデモを展示している。ファクトリーオートメーション(FA)をけん引する欧州を意識して、高精度のアナログIP(Intellectual Property)をSynergyに追加する予定だという。
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