Ditzel氏は、「当社のアプリケーションリストのトップ項目にあるのは、トレーニングと推論だ。われわれの強みは、ハイエンドのVR(仮想現実)およびAR(拡張現実)分野にある。当社のアーキテクチャが最も効果を発揮することができるのは、大量の並列処理の問題に対してだ」と述べる。
「当社のチップは、トレーニング向けに16ビットの浮動小数点を使用するが、ニューラルネットワーク向けに、もっと低いビット幅や整数演算などをサポートすることも可能だ。他の多くのトレーニング用チップが激しい戦いを繰り広げているが、競合他社を超える性能の向上と低消費電力化を達成し、スケーラブルな電力を実現することにより、低消費電力アプリケーションにも対応できるようになる」(同氏)
同氏は、「当社の7nmプロセスチップは、レチクルのダイサイズが最大ではないという点で、NVIDIAやIntel、新興企業Graphcoreなどのライバル企業が提供しているようなトレーニング用アクセラレーターとは異なる」と述べる。
Esperanto Technologiesは、当初のターゲットの1つとして、「Amazon Echo」や「Google Home」などスマートスピーカー向けの組み込みプロセッサを狙っているという。Ditzel氏は、「Transmetaから学んだ教訓の1つに、量産化の早期実現がある。これが、設計サイクルが2年間にも及ぶサーバ市場だけに注力するのではなく、幅広い消費者市場への参入を実現していくという戦略につながった」と述べている、
Esperanto Technologiesの主要ビジネスは、SoCを提供することだが、その中にはSoC搭載システムも含まれる。また、RISC Vの普及を推進していく上で、自社コアをライセンス供与していきたい考えだという。
現在の主な課題は、RISC-Vとソフトウェアがまだ未熟であるという点だ。
Ditzel氏は、「GCCコンパイラは非常に安定しており、Linuxポートはアップストリームとして使われているが、LLVM(Low Level Virtual Machine)に関しては、まだ時間がかかりそうだ。当社がチップを出荷するころには、もう少し成熟しているだろう。RISC-VをベースとしたカスタムSoCなどを手掛ける米SiFiveはつい最近まで、シリコンをほとんど取りそろえることができなかったが、いったん軌道に乗れば、ソフトウェアもその後に続くとみられる」と述べる。
「この先6カ月どころか、約6年間という長い期間を要するだろう」(同氏)
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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