同氏によれば、音声AIについてGoogleとAmazonを比べた場合、やはりAmazonの方が圧倒的に普及しているという印象を受けるという。その理由の1つは、デバイスとの連携に強いからだ。例えばプリンタや冷蔵庫とAmazon Alexaを連携させ、Amazonのサイトでインクトナーや食材などを購入してもらう仕組みを確立しやすい。一方でGoogle Assistantは、Googleの強みである検索機能を生かせることが利点だ。
吉岡氏は、面白い経験を語ってくれた。Amazon Alexa搭載のスマートスピーカーとGoogle Assistant搭載のスマートスピーカー(どちらも米国で発売されたもの)の両方に「部屋にゴキブリが出たけど、どうしたらいい?」と尋ねてみたそうだ。すると、Amazon Alexaは「知りません」と答え、Google Assistantは、退治法を検索し、提案してくれたという。
Google Assistantは、現時点では連携できるデバイスが少ないが、検索機能という特長を生かし、冷蔵庫にはAmazon Alexaを、TVにはGoogle Assistantを搭載するという、LG Electronicsのようなメーカーも出てきている。音声認識の性能そのものではなく、デバイスとの連携か、それとも検索機能か、というそれぞれの特長を踏まえて搭載する音声AIを選ぶ傾向になっていると、吉岡氏は説明した。
もう1つのトレンドが5GやAI、IoTの融合だ。吉岡氏は、このトレンドが表れていた展示を幾つか紹介した。
まずは、「CES 2018の基調講演で最もインパクトが強かった」と吉岡氏が語るIntelだ。Intelは、360度カメラなどを多数設置して同時に撮影し、3次元データ(ボクセル)として記録する「Intel True VR」を披露した。同技術を使うことで、視点移動などを自由に行えるVR動画を撮影できる。Intelは、開催が目前に迫った韓国・ピョンチャン五輪で、Intel True VRを使った試合中継を行う計画だ。しかも、5Gのネットワークを使ってこれを配信するという。
吉岡氏はその他、トヨタ自動車が基調講演で発表した自動運転のコンセプトカー「e-Palette」(関連記事:トヨタは“モビリティサービスメーカー”を目指す)、ソニーの「aibo」、ドイツやフランスのメーカーが開発に積極的な“空飛ぶタクシー”(ドローンで人を運ぶ)、脳波をUI(ユーザーインタフェース)として利用するセンシング技術などの例を挙げた。
吉岡氏は、「5GとAI、IoTが融合し、インダストリーや社会向けのユースケースが、今までよりも具体的な形として見え始めたCESだった」と結んだ。
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