一般に、スマートスピーカーは以下の5つの機能チップで構成される。(1)マイクロフォン、(2)Wi-Fi通信チップ、(3)音声処理用プロセッサまたはコントローラー、(4)操作用コントローラー、(5)スピーカーアンプである。
AmazonやGoogle、ソニーのスマートスピーカーでも、ほぼ同じ機能チップで構成されている。採用しているチップのメーカーは異なっても、既存チップの組み合わせである場合が多い*)。
*)スマートスピーカー向けに新規に開発されたチップを使うケースは少ない。スマートスピーカー専用のチップも存在するが、音声処理をより高度化するためにオーディオDSPを強化したものなどが出回り始めている。弊社ではいくつかを入手しチップ観察を行っている。
中国製チップで構成されるスマートスピーカーは、性能、音質、品質の点で決して競合品に引けを取らない。こうした製品で採用されたチップや構成(システム)は、市場での実績があるものとして、次々と類似製品に採用されていく。こうした中から“ゴールデン・アンサー”(巨大プラットフォーム)が生まれてくるのではないだろうか。
多くの調査会社などがスマートスピーカー市場の将来予測を行っていて、2020年代には年間1億台以上の巨大市場になるという予想も多い。各種家電やクルマなどに音声処理機能を搭載するケースも増えている。ロボティクスの分野なども同様だ。
こうした市場成長の中で、日本製チップの存在は極めて薄い。使えるチップは多いのだが、代表的なスマートスピーカーや、中国、台湾のスマートスピーカーには日本製チップがほとんど採用されていない。一方で、中国製チップを搭載したスマートスピーカーは全世界に向けて続々と出荷されていく。その間も、中国製チップは当然ながら進化を続けているのだ。
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