さて、これまで本シリーズで取り扱ってきた「非正規雇用」「生産性」「時間外労働」「労働環境」では、各企業は、お上(政府)に従順な姿勢(フリ)をして、社内に(これも、「本気」か「フリ」かは不明ですが)それに対応するルールを(一応は)作って実施しています ―― 現場の労働者から悲鳴が上がっていても、です。
ところが、今回の政府主導による「働き方改革」の「副業・兼業」に関しては、関係者の反応は、バラバラです ―― というか、この件に限っては、珍しく対立の姿勢すら見えてきます。以下に、この問題の関係者のスタンスを記載してみました。
(1)政府のスタンス
(2)企業のスタンス
(3)経団連のスタンス
(4)司法のスタンス
(5)労働者のスタンス
以上を整理すれば、この「副業・兼業」の問題に関しては、―― 政府が「推進」、司法が「認容」、企業は「反対」、経団連が「日和見」、労働者は「静観」―― といったところです。
今回の「働き方改革」は、これまで政府が何度も試みては、その度に失敗(選挙で政権が倒れるなど)を繰り返してきたのですが、今回ばかりは、ちょっと「気迫」が違うようです。
わが国は、今のところ、珍しく長期政権であり経済も堅調。そして、(何度も繰り返して申し訳ありませんが)絶望的な人口減少社会が、ついに、その姿を現わし始めた ―― この一言に尽きます。
実際のところ、2013年から2020年までの7年間で、太平洋戦争における我が国の犠牲者310万人を超える人口が消滅しますし、2073年(60年後)までに日本一国だけで、第二次大戦の全世界の犠牲者数と同程度の人口(およそ5500万人)が減少します(参考:外部媒体に移動します)。
つまり、わが国は、2005年の人口ピークを最後に、既に戦争状態(内乱)に突入していると言い切っても良い状態にあるのです。
この状態を「戦争」と見なして、クラウゼヴィッツの「戦争論」を使って国家を擬人化して考えてみると、以下のようになります。
「わが国は、現在、戦争状態にある」として、今回の「働き方改革」の「副業・兼業」を捉えてみると、見通しが良くなります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.