埋め込みメモリを不揮発性メモリ(eNVM)に限ると、記憶容量と書き換え可能回数によって分類できる。記憶容量では、128バイトから1Kバイトの極小容量品、1Kバイト超から128Kバイトの小容量品、128Kバイト超から1Mバイトの中容量品、2Mバイト以上の大容量品に分かれる。
書き換え可能回数では、10回未満、100回未満、1万回未満、20万回未満、50万回未満、100万回以上と大きな違いがある。
CMOSロジックとの製造技術の互換性にも注目すべきだろう。最も望ましいメモリは、追加の製造用マスクがゼロであることだ。しかしそのような埋め込み不揮発性メモリは少ない。大きな記憶容量と多くの書き換え回数を両立させたメモリでは、追加の製造用マスクが10枚以上に達することもある。
最も書き換え回数が少ないのはOTPメモリとヒューズだろう。いずれも原則として1回だけ、データを書き込める。記憶容量ではOTPメモリが小容量品、ヒューズが極小容量品に属する。これらのメモリはCMOSロジックと完全互換のプロセスで製造できる。追加の製造用マスクは必要ない。
次いで書き換え可能回数が100回未満のMTPメモリがある。記憶容量では小容量品である。追加の製造マスクは3枚前後で、非常に少ない。
プログラムのコードを格納するメモリの代表は、フラッシュメモリだろう。低コスト版の埋め込みフラッシュメモリには電荷捕獲型(SONOSタイプ)とスプリットゲートの浮遊ゲート型(SG-Flashタイプ)がある。
SONOSタイプは記憶容量が128Kバイトから1Mバイトの中容量品であり、書き換え可能回数は1000〜1万回となっている。追加する製造マスクは3〜9枚に増える。
SG-Flashタイプは記憶容量が1M〜2Mバイトに増え、書き換え可能回数は1万〜2万回と寿命が伸びる。ただし追加する製造マスクは8〜10枚とさらに増える。
ハイエンド版の埋め込みフラッシュメモリは、SG-Flashタイプで記憶容量が2Mバイトを超える。書き換え可能回数は10万〜20万回に達する。ただし、追加する製造マスクは13枚とかなり多い。
MRAMは、これらの埋め込み不揮発性メモリの頂点に立つ可能性がある。記憶容量は4Mバイト以上、書き換え可能回数は100万回を実現可能だ。そして製造マスクの追加は、わずか4枚で済む。
(次回に続く)
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