岩崎通信機(以下、岩通)は、中国・上海で開催中のパワーエレクトロニクスの総合展示会「PCIM Asia 2018」(2018年6月26〜28日)で、パワー半導体の静特性(IV特性)を計測するカーブトレーサー「CS-5400」や、GaNパワーデバイスなどのスイッチング損失を正確に測定するための電圧センサー、電流センサーを展示した。
岩崎通信機(以下、岩通)は、中国・上海で開催中のパワーエレクトロニクスの総合展示会「PCIM Asia 2018」(2018年6月26〜28日)で、パワー半導体の静特性(IV特性)を計測するカーブトレーサー「CS-5400」や、電圧センサー、電流センサーなどを展示した。
今回岩通が展示したCS-5400は、とりわけ容量の大きいパワーデバイスの測定に適している。中国市場において同社が狙うのは、高速鉄道や電気自動車(EV)の分野だ。もちろん中国にも計測器メーカーは存在するが、岩通によれば、そうした地元メーカーの製品は、容量が小さいパワーデバイスは測定できても、大容量のパワーデバイスを測定をするのは難しいという。そのため、カーブトレーサーは、中国でも引き合いが強い。
大容量のパワーデバイスを測定できる計測器は、岩通の他、米国のメーカーも強いが、岩通の強みは、正確に捕捉された波形を使うFA(Failure Analysis)プロセスだという。「他社品は、生産時のテスターとして使われることが多く、“任意の1点をどれくらい正確に速く測定できるか”を要求される。当社としては、カーブトレーサーを、テスターではなく、あくまで(開発に使用する)“計測器”として訴求している。そのため、波形をきちんと確認できるかが重要になる。ただ、日本以外の顧客はテスターとしての要求が高いので、カーブトレーサーの特性をじっくりと説明して納得してもらうようにしている」(岩通)
さらに、GaNパワーデバイスのスイッチング損失を計測するデモも展示した。岩通は、「GaNパワーデバイスのような、スイッチング周波数が高いデバイスで損失を正確に測るには、電流と電力をいかに正確に測定できるかが重要になる。そのためには計測器そのものはもちろん、電流センサーや電圧センサーが鍵になる」と強調する。岩通は、電圧センサーとしては、ドイツPMKの製品を販売している。2018年3月には、小径Φ1mmで、測定周波数帯域が最大100MHzの電流センサー(電流プローブ)「SS-600シリーズ」を発売すると発表した。同シリーズはロゴスキーコイルを用いた電流センサーで、測定ピーク電流は120A、300A、600Aの3種類がある。同社の製品に限らず既存の電流センサーの測定周波数帯域は、最大でも30MHzだった。だが、GaNやSiCなどのパワーデバイスでは、30MHzでは対応できなくなる。
中国のGaN市場について岩通は、「これから伸びていく」とみている。岩通によれば、次世代パワーデバイスの研究開発においては、「電流と電圧の測定に苦労しているという印象を受ける」という。「測定手段はあっても、どこまで正確に測定できているのかが分からないという声もあった。前述した通り、パワーデバイスの測定ではセンサーが重要になってくるので、われわれとしては電圧センサーと電流センサーを強くアピールしていきたい」(岩通)
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