一方、AMDは、スマートフォン向けのチップで採用されるウエハーレベルのファンアウトパッケージなどの2.1D(2.1次元)技術で、高性能PCやサーバチップにも適したパッケージングオプションが登場するのを待っている。Papermaster氏は2017年に、「今後2〜3年の間にこのようなオプションが登場する見込みだ」と語っていたが、2018年時点では大きな進展は見られない。
同氏は、「OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test:半導体の後工程である組み立てとテストを請け負う企業)は新しい技術を追求している。2.5Dスタックは実証済みで、他の多層スタッキング技術を使った実験も数年後には成果が出る見通しだ。さらに、その後数年の間に2.5Dパッケージに代わる新しい技術が登場すると予想される」と述べている。
AMDは2015年に、2.5Dパッケージでグラフィックスプロセッサとメモリを積層した「Fiji」をリリースし、ライバルのNVIDIAとの競争に打ち勝った。しかし、同技術は相対的にコストが高く、これまでのところPCゲーマーなどのメインユーザー向きとはいえない。
これとは別に、AMDは2016年に、合弁事業パートナーである中国のTHATIC(Tianjin Haiguang Advanced Technology Investment)と米国テキサス州オースティンにあるAMDの施設で中国市場向けにZenベースのx86プロセッサを設計すると発表したが、その後の進捗状況については明らかにしていない。Papermaster氏は、中国企業が設計したArmやPOWER、x86プロセッサがまだ市場をけん引するには至っていないにもかかわらず、合弁事業の将来性については楽観的な見方を示している。
同氏は、「AMDの『Ryzen』と『EPYC』プロセッサが普及したように、当社のTHATICはx86を採用する用意があると思われる。x86は大規模な設置基盤があり、採用の障壁は低い」と述べている。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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