加賀電子が富士通エレを買収へ、売上高5000億円規模に : 国内トップを狙えるエレ商社に
加賀電子と富士通セミコンダクターは2018年9月10日、富士通セミコンダクターが所有する富士通エレクトロニクスの全株式を加賀電子が取得することで合意し、最終契約を締結したと発表した。
加賀電子と富士通セミコンダクターは2018年9月10日、富士通セミコンダクターが所有する富士通エレクトロニクスの全株式を加賀電子が取得することで合意し、最終契約を締結したと発表した。富士通セミコンダクターは、まずは、2019年1月をメドに70%の株式を譲渡し、残りの30%については2021年内を目標に段階的に加賀電子に譲渡していく予定だ。加賀電子の広報によると、株式取得に約204億円、その他アドバイザリー費用などで約1億円と、計205億円(概算)の費用を見込んでいる。
今回のM&Aにより、加賀電子と富士通エレクトロニクスは、取り扱う商材や国内外の販売チャネルを相互に補完し、顧客ニーズの対応力を強化するとともに、電子部品や半導体ビジネスにおけるシェア拡大を目指すとする。加賀電子の広報は、「富士通エレクトロニクスが強みを持つ車載、通信、IoT(モノのインターネット)関連の商材に、当社が強いEMS(電子機器受託製造サービス)事業を融合することで、両社の事業拡大を図ることができる」と述べる。
なお、富士通エレクトロニクスは、株式譲渡後も、当面の間は「富士通エレクトロニクス」の商号を継続し、既存の商材を取り扱っていく。
もともと加賀電子は、M&Aには積極的な企業である。2015年11月にはUKCホールディングスとの経営統合も発表したが、これは中止となった。だがその後も、加賀電子社長の門良一氏は、「積極的にM&Aを展開したい」と語っている(関連記事:野武士・加賀電子「M&Aで商社再編を主導する」 )。「富士通エレクトロニクスも同様に成長機会を模索しており、今回両社の利害が一致したことで、合意に至った」(加賀電子広報)
富士通エレクトロニクスの買収により、加賀電子の売上高は5000億円規模となる見込みだ。2018年3月期における売上高は、加賀電子が2359億2100万円、富士通エレクトロニクスが2587億300万円だった。同時期における国内主要半導体/エレクトロニクス商社のトップはマクニカ・富士エレホールディングスで、売上高は5040億円。加賀電子は今回のM&Aで、マクニカ・富士エレホールディングスに並ぶ国内トップクラスとなる。
加賀電子の広報は「今回のM&Aで国内トップを狙える位置に付くことができる。グローバル市場で、海外の半導体/エレクトロニクス商社と互角に勝負をするために、将来的には1兆円規模を目指していく」と述べた。
UKCとバイテックが経営統合、新会社は「レスターホールディングス」に
UKCホールディングス(以下、UKC HD)とバイテックホールディングズ(以下、バイテックHD)は2018年9月14日、両社の経営統合を行うと発表した。UKC HDが存続会社となり、バイテックHDの株式1株に対し、UKC HDの株式1株を割り当てる。
野武士・加賀電子「M&Aで商社再編を主導する」
2016年も収まらなかった半導体業界に吹き荒れるM&Aの嵐。この業界再編は、半導体商社にとっても変革期を迎えたことを意味するだろう。そこでEE Times Japanは、半導体各社トップへのインタビュー企画を進めている。今回は、加賀電子で社長を務める門良一氏に聞いた。
2018年3月期【半導体商社】業績まとめ
EE Times Japanではこのほど、半導体、電子部品などを取り扱う国内半導体/エレクトロニクス商社の2018年3月期業績をまとめた。2018年3月期業績を発表した上場するエレクトロニクス商社23社のうち19社が前年比増収を達成。営業利益では、23社中21社が前年比増益となり、2018年3月期は多くのエレクトロニクス商社にとって、回復、成長の1年となった。
再開見通し立たない関空、エレ各社に及ぼす影響
各地で甚大な被害をもたらした台風21号。供用再開の見通しが立たない関西国際空港を物流拠点とするエレクトロニクス各社にも企業活動への影響が広がっている。EE Times Japanでは、関西および北陸地方に事業所や工場が所在するエレクトロニクス各社について、操業状況や物流への影響をまとめた。
半導体シェア、18年1〜3月もSamsungが首位堅持
米国の市場調査会社であるIC Insightsは、Samsung Electronicsは2018年第1四半期(1〜3月)の半導体売上高で、Intelを抑え首位を堅持したと発表した。メモリ市場の成長が続いていることが影響したと考えられる。
Avnetが語る「IoT時代の半導体商社の役割」
1921年に創業して以来、125カ国に1400社以上に上る取引サプライヤーを抱えるエレクトロニクス商社のAvnet(アヴネット)。同社が注力する分野の1つが、IoT(モノのインターネット)だ。
合併の決断と、国内最大級半導体商社として向かう先
2017年4月1日、国内最大級の売り上げ規模を誇るエレクトロニクス商社「ネクスティ エレクトロニクス」が発足した。自動車向け半導体、電子部品販売に強い豊通エレクトロニクスと、民生機器向けなど幅広い用途向けに半導体デバイス販売を手掛けるトーメンエレクトロニクスが合併して誕生した。なぜ、両社は合併し、この先どこに向かうのか。ネクスティ エレクトロニクス社長の青木厚氏にインタビューした。
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