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DRAM市場、2018年は好調も2019年以降は低迷か好況、不況を繰り返す(2/2 ページ)

» 2018年09月26日 15時30分 公開
[Gary HilsonEE Times]
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2019年以降はDRAM価格の下落が続く?

 DRAM価格が下落しても、その価格下落を引き起こすコストの低下も並行している場合は、決して悪いことではない。価格が、コストよりもはるかに速く継続的に下落する場合にのみ、懸念の原因となる。

 「実際に、業界は過去数十年間で成長を遂げてきたが、その間に価格は継続的に下落している。コストの下落は通常、技術が進展していく上で当然起こるため、価格の下落がコストの下落と同じペースで進みさえすれば、半導体メーカーにとっては、継続的に健全な状況を維持することが可能だ。価格の下落自体が、市場の健全性を示す指標になることはない」(同氏)

 Micronが長期的な利益について楽観視しているにもかかわらず、投資アナリストたちは既に、Micronや業界全体に関する展望予測を修正し始めているという。米国の投資銀行であるGoldman Sachsのアナリストは、「業界関係者との議論および、供給と需要に関する当社の分析結果に基づいた、DRAMおよびNANDフラッシュ両分野における漸進的な弱点」という記事を引用している。

 Matas氏は、「IC Insightsとしては、DRAM市場において平均販売価格が下落しているとみている。2018年末にかけて横ばい状態になり、その後、一部の工場で生産量が拡大し始めると、2020年までには、さらに価格が大幅に下落する可能性がある」と述べる。

 同氏は、「過去数年の成長と低迷の振り幅は特に大きかった。その要因の1つは、DRAM市場のキープレイヤーが3社しか存在しないことだが、このようなサイクルは今後も続く」と見ている。

 そうした状況では、新たなサプライヤーによる市場参入の脅威が高まる。こうした中で、中国が虎視眈々とDRAMの主要プレイヤーの座を狙っていることは周知の事実だ。

 だが、Matas氏によると、中国がDRAM市場に大きな影響を与えるとは考えにくいという。同氏は、「少なくとも、最先端のDRAM市場では影響は少ない。中国の設備や技術はMicron TechnologyやSK Hynix、Samsung Electronicsからは3〜5年程遅れているからだ」と述べている。

 米国の半導体調査会社Objective Analysisで主席アナリストを務めるJim Handy氏は、「中国は半導体市場の主要プレイヤーを目指しており潤沢な資金があるが、中国の半導体企業はノウハウが不十分なパートナーの技術を使っているため、DRAM市場では十分な成果を出せていない。優れた技術を獲得するには、ロイヤリティーを支払わなければならない」と述べている。

 Handy氏は、「中国は、2020年に主要な半導体サプライヤーになるという野望を抱いている。そのために、市場が過剰供給期であっても参入しようとしている」と述べている。

 同氏は、「景気の変動は通常、2年間の成長と2年間の低迷というパターンを繰り返す。しかし、DRAM市場の低迷は2021年まで3年間続く見通しだ。中国が多額の投資を行わない限り、回復の時期はそれ以降になると予想される」と述べている。

Objective Analysisは、DRAMの過剰生産により2019年は売上高が低下するとみている

 Handy氏によると、今回の市場の成長とそれに続く低迷は、1992年から1995年末に見られた大きな変動とまったく異なるわけではないという。前回の変動は、需要の変化ではなく、供給が予想よりも遅れたことによって引き起こされたものだった。DRAMの主要市場がPCになり、4ビットまたは1ビット幅ではなく16ビット幅の製品が求められていた。DRAMメーカーはその後2年間奮闘して市場に製品を投入したが、製品の不足が価格の上昇を招いた。

【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】

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