既に設置されているHuaweiの通信機器を取り外すのは困難を伴う。同社の製品を最初から避けることはもちろん、取り外す必要があるのかは不明だ。では、通信事業者は何をすべきなのだろうか。
既に設置されているHuaweiの通信機器を取り外すのは困難を伴う。同社の製品を最初から避けることはもちろん、取り外す必要があるのかは不明だ。では、通信事業者は何をすべきなのだろうか。
中国の通信機器メーカーであるHuaweiの苦難と5G(第5世代移動通信)ネットワークのグローバル展開について考えると、「Be careful what you wish for:決断は(予想外の展開を招く場合もあるため)慎重にすべし」というフレーズが思い浮かぶ。公正なモバイルネットワーク事業者であるためにも、この言葉を胸に刻む必要がある。
国や企業は、Huaweiの機器を引き続き使用するかどうかの決断を迫られている。Huaweiの損失はライバル企業の利益につながるが、Huaweiの損失が増え続ければ、Huaweiの最大かつ直接のライバル企業にも危機的な状況が訪れる可能性がある。だが、この潜在的な脆弱性は、現在Huaweiの機器に依存しているネットワーク事業者が被るであろう、より直接的な影響に隠れて認識されにくい。
Huaweiは、世界中の通信事業者の間でトップクラスのサプライヤーとみなされている。Huaweiの5G製品は、必ずしも最安値ではないが品質は最高だ。それと同じくらい重要なのが、同社製品の調達のしやすさだ。これは、モバイル分野で一致した見解である。
これは主に、Huaweiの巨額の研究開発費によるものである。同社は、市場をリードする研究開発と比較的安価な労働力を武器に、5Gに特化したインフラの製造と展開を進めている。
スウェーデンの通信コンサルティング会社であるNorthstreamの創設者で同社のCEO(最高経営責任者)を務めるBengt Nordstrom氏は、EE Timesが2019年2月7日に掲載したNokiaの復活に関する記事の中で、「Huaweiの研究開発費とマーケティング予算は、同社の2大ライバルであるスウェーデンのEricssonとフィンランドのNokiaを大きく上回っている」と語っている。
Huaweiの研究開発費は、韓国のSamsung Electronics(以下、Samsung)より多いかもしれない。Samsungは、長期的な展望を持って段階的にインフラ事業の強化を進めている。Huaweiの投資戦略は、スマートフォン事業で功を奏した。時間はかかったが、同社は2018年の世界スマートフォン出荷台数でついにAppleを追い抜いたのだ。
この他、Samsungが3GPPの定める特許プロセスにおける5Gインフラ向けの標準必須特許(SEP:Standard Essential Patent)アプリケーションを年々拡充していることにも注目すべきだ。2G(第2世代移動通信)規格のGSMと3GPP規格の今日の成功は、Samsungのこうした取り組みの功績だといえる。また、Samsungにとって、5G機器に必要な主要シリコンデバイスの製造施設を有していることは大きな強みだ。
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