同じくE-Mobility Forumのセッションに登壇した、Danfoss Silicon Power(以下、Danfoss)のHead of Global Automotive SalesであるNorbert Apfel氏は、車載用途向けのパワーモジュールにおける主要課題として、ボンディング/接合、冷却、パッケージング技術の3つを挙げ、これらを解決することで、パワーモジュールの電力密度と寿命を向上できると主張した。
Apfel氏は、3つの課題それぞれに向けたDanfossの技術を紹介した。ボンディングの信頼性を向上する「Danfoss Bond Buffer(DBB)」は、従来のアルミワイヤではなく銅ワイヤを使い、はんだ接合に代えて焼結接合を使う技術である。「DBBを使うことで接合部がより堅ろうになり、パワーサイクル寿命が大幅に向上する。加えて、放熱性の向上と導電損失の低下という効果も得られる」(Apfel氏)
Apfel氏は、冷却技術としてDanfossの「ShowerPower」を紹介した。モジュールを直接水冷する技術で、他のモジュールメーカーなどにもライセンスとして提供している。モジュールを均一に水冷できることが特長で、最新の第3世代となる「ShowerPower 3D」では、1cm2当たり最大で325W以上の電力を拡散できるという。
パッケージについても「自動車分野向けに、堅ろう性を備えたモールドパッケージを12年前から提供している」(Apfel氏)とする。
Danfossは、ボンディング技術、水冷技術、パッケージング技術を組み合わせたモジュールプラットフォーム「DCM1000」を、自動車のトラクション制御向けにも展開している。DCM1000は、SiとSiCの両方に対応可能だ。
Danfossは、同社のブースでDCM1000や、DCM1000の評価キットなどを展示していた。
Apfel氏は、自動車におけるSiCパワーデバイスの採用について、「非常に関心が高く、誰もが情報を求めている。一方でコストがまだまだ高いため、SiCパワーデバイスの採用を検討しているメーカーはいずれも、損益分岐点を探っているようだ」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.