Western Digital(ウエスタンデジタル)は2019年5月30日、車載向けとして、TLC(Triple Level Cell)タイプの64層3D NANDフラッシュメモリを搭載したeMMCの新製品「Western Digital iNAND AT EM132 EFD(以下、iNAND AT EM132)」を発表した。
Western Digital(ウエスタンデジタル)は2019年5月30日、車載向けとして、TLC(Triple Level Cell)タイプの64層3D NANDフラッシュメモリを搭載したeMMCの新製品「Western Digital iNAND AT EM132 EFD(以下、iNAND AT EM132)」を発表した。eMMC 5.1に準拠し、容量は最大で256Gバイト。ADAS(先進運転支援システム)や、3時限グラフィックスの地図に対応するような最新のインフォテインメントシステムで求められる大容量ストレージへのニーズに応えるものとして、市場に投入する。2019年6月に提供を開始する。
Western Digitalは、2015年と2017年に第1世代、第2世代の車載用eMMCを発表していて、今回の製品は第3世代となる。同社の車載用eMMCとしては初めて3D NANDフラッシュを搭載した。動作温度は−40〜85℃(グレード3)、−40〜105℃(グレード4)。
Western Digitalの車載&コネクテッドソリューション プロダクトマーケティングディレクターを務めるRussell Ruben(ラッセル・ルーベン)氏は、「車載ストレージの容量はコネクティビティや自動運転の浸透に伴って、さらなる増加が求めれている」と語る。「例えば車載インフォテインメントシステムに使われるストレージの容量は、これまでは16Gバイト、ハイエンドのクルマで64Gバイトが主流だった。だが、カーナビゲーションシステムの地図の3D化などでデータ量がどんどん増えており、256Gバイトが必要とされるケースも出てきている」(同氏)
ルーベン氏は、音声/ジェスチャーなどのHMI(Human Machine Interface)、地図、AR(拡張現実)、ドライブレコーダー、車載カメラなど、それぞれのアプリケーションで車載ストレージの大容量化に対するニーズは高まっていると語る。「2022年までに、自動車1台当たりのストレージは最大で2Tバイトを超えるとの予測もある。その上、アプリケーションによって、書き込み、読み出し、データ保持、温度などに対する要件は異なる。今回発表したiNAND AT EM132は、こうしたさまざまな要件に対応できる製品だ」(ルーベン氏)
iNAND AT EM132は、64層の3D NANDフラッシュを採用している。ルーベン氏によれば、64層は十分に市場実績があり、成熟した技術だという。そのため不良率が低く、車載にも適用できる。ルーベン氏は「3D NANDになることで、メモリセルの大きさが2D NANDフラッシュに比べて大きくなった。つまり1メモリセル当たりに蓄えられる電子数が増すので、信頼性が向上する。さらに、セル間の隣接干渉も緩和される」と説明する。「15nmプロセスを採用した2D NANDフラッシュよりも、今回のeMMCに採用したTLCの64層3D NANDフラッシュの方が信頼性は高い」(同氏)
半導体ベンダー各社の車載用SoC(System on Chip)との互換性検証も着々と進めている。例えばルネサス エレクトロニクスの車載用SoC「R-Car」との互換性を検証済みだ。
Western Digitalは、車載用ストレージの開発で長い歴史を持つ。2002年に車載用HDDを発表して以来、毎年のように新しいHDDを発表してきた。2015年以降は、NANDフラッシュを用いたSDカードやeMMCを市場に投入していて、2018年には3D NANDフラッシュを搭載した車載用UFSを発表した。
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