ソニーは、イメージセンサーをグループの成長戦略の柱の1つに据えている。同社によると、半導体分野の売り上げに占めるCMOSイメージセンサーの割合は年々増加しており、2019年度には約85%に達し、今後さらに高まる見通しだという。
十時氏は、「早いスピードでプロセス微細化が進み、頻繁な設備更新によって商品競争力を保つ必要のあるロジックLSIやメモリなどと異なり、イメージセンサーは同じ設備を使いながら性能改善や新しい機能による差異化が可能で、相対的に大きな設備投資負担を定常的に必要としない事業だ」と説明。「機能、性能で差異化されたカスタム品中心の事業であり、過去数年間で大きく広げた顧客ベースと高い市場シェアによって、市況変動の影響を受けにくい事業構造が確立されつつある」と強調していた。
また、「過去10年においてはスマートフォン用途を中心に年率約17%という非常に高い売上成長を遂げており、これに伴う生産能力増強のため大きな設備投資を行ってきているが、現状の急激な需要拡大が穏やかな拡大になるに従って、事業の設備投資負担も大きく下がってくると計画している」と今後の見通しも明かした。
さらに、将来の成長に向けた方向性としては、イメージセンサーにAIを組み合わせインテリジェント化するAIセンサーの開発を推し進めていくといい、「センサーとロジック回路の積層構造やCu-Cu(銅‐銅)接合といったセンサーハードウェアの強みを活用するだけでなく、AI技術や多様なアプリケーション開発が必要になることから、この取り組みはソニーグループ全体で進める。AIとセンシングは自動運転やIoT、ゲームなど幅広い領域で使われていくと考えられ、画像データやセンシング情報をセンサー内で高度に処理することでイメージセンサーをハードウェアから、ソリューションやプラットフォームに進化させられる可能性がある」と話した。
今回発表した業績の見通しは、現時点で既に実施が確定しているか、実施中の追加関税、輸出規制の影響は盛り込んでいる。ただ、追加関税措置の第4弾など、実施が未定の案件については織り込んでおらず、十時氏は、「追加関税措置第4弾の発動が現実のものになった場合、市場価格への転嫁や継続販売の是非など、いろいろな対策の検討はシミュレーションとしてはしている」と説明した。また、「高い関税をかけるということは最終的には米国経済にとってマイナスになるのではないかと、米国子会社は米国政府に意見書を提出している」という。
一方で、日韓の半導体材料輸出に関する問題については、「影響の有無についても、さまざまな意見があると理解している」と述べつつ、「メモリなどの部品については、現時点で第3四半期までに販売する商品向けの部品は確保している。それ以降の販売分についても引き続き必要と思われる対処はしていく」と明かした。
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