NXP Semiconductors(以下、NXP)は2020年1月7日 、産業用、IoTにおけるエッジでの機械学習/推論向けに、専用ニューラルプロセッシングユニット(NPU)を統合したアプリケーションプロセッサ「i.MX 8M Plus」を発表した。
NXP Semiconductors(以下、NXP)は2020年1月7日 、産業用、IoT(モノのインターネット)におけるエッジでの機械学習/推論向けに、専用ニューラルプロセッシングユニット(NPU)を統合したアプリケーションプロセッサ「i.MX 8M Plus」を発表した。i.MXファミリーで初めてNPUを統合したもので、高性能コアと組み合わせることで、「エッジデバイスは人間の介入をほぼ、あるいは全く必要とせずに学習と推論を行い、ローカルでインテリジェントな意思決定を実行できるようになる」(同社)としている。
i.MX 8M Plusは、2.3TOPS(Tera Operations Per Second)のNPUと最大2GHzで動作する4コアのArm Cortex-A53、800MHz動作のCortex-M7コアのほか、音声/自然言語処理向けのHiFi 4 DSP、デュアルカメライメージシグナルプロセッサ(ISP)、高性能グラフィックスレンダリング向け3D GPUなどで構成されている。開発時にNPUへの機械学習推論機能のオフロードが可能で、Cortex-A/Cortex-MコアやDSP、GPUは、他のシステムレベルあるいはユーザーアプリケーションタスクを実行することができるという。
ISPはリアルタイムステレオビジョン向けHDカメラ2個、またはシングル12Mピクセルカメラに対応、ハイダイナミックレンジ(HDR)と魚眼レンズ補正機能も搭載している。さらに、H.265またはH.264 HDビデオエンコーダー/デコーダーを使用したマルチビデオフィードの圧縮が可能なほか、3D/2Dグラフィックス、ドルビーアトモスとDTS:XをサポートするImmersiv3Dオーディオも備えている。
14nm LPC FinFETプロセスを採用しており、マルチオブジェクト識別、英単語4万語強のスピーチ認識、医療用画像処理などの高度に複雑なニューラルネットワークを複数同時に実行することが可能という。同社は、「例えば、パワフルなNPUは1秒あたり500画像超という速度で、画像分類ネットワークMileNet v1の処理が可能だ」と説明。コスト効率も高いことから、実現可能なアプリケーションとして公共安全、産業用マシンビジョン、ロボティクス、ハンドジェスチャー向け人間/物体認識のほか、超高速応答と高精度を実現するシームレスな人間−デバイス間インタラクション向け自然言語処理による感情検出、などを挙げている。
i.MX 8M Plusは、Time-Sensitive Networking(TSN)対応のギガビットイーサネットを統合。Arm Cortex-M7リアルタイムプロセッシングとの組み合わせにより、確実な有線ネットワークコネクティビティ/プロセッシングが実現できるとしている。NXPはi.MX 8M Plus向けに最適化した「Plus Power Management Solutions PMIC(PCA9450C)」も提供する。また、内蔵メモリとDDRインタフェース向けError Correction Code(ECC)を搭載しているほか、厳格な産業用温度範囲(周囲温度:−40℃〜+105℃)と電源オンプロファイル(100%電源オン)に準拠する予定で、NXPの長期製品保証プログラム(15年)の対象という。i.MX 8M Plusは既にサンプル提供中だ。
NXPの副社長兼コンシューマー/インダストリアル市場向けi.MXアプリケーションプロセッサ担当ゼネラル・マネジャーのMartyn Humphries氏は、「i.MX 8M Plusの提供によって、コンシューマー/インダストリアルIoT(IIoT)市場での有力企業による『スマート』エッジから『インテリジェント』エッジへの変革を可能にする。こうした企業が今後、i.MX 8M Plusを採用して発表する革新的な製品に大きな期待を抱いている」と述べている。
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