イスラエル・テルアビブに拠点を置くAI(人工知能)チップの新興企業であるHailoは、シリーズBの投資ラウンドで6000万米ドルを調達した。これにより、同社の資金調達総額は8800万米ドルに達した。
イスラエル・テルアビブに拠点を置くAI(人工知能)チップの新興企業であるHailoは、シリーズBの投資ラウンドで6000万米ドルを調達した。これにより、同社の資金調達総額は8800万米ドルに達した。この資金は、同社のチップ「Hailo-8」のさらなる製品化、商用化や、ハードウェアならびにソフトウェアの継続的な開発、同社の知名度向上などに用いられる予定だ。
Hailoは2019年5月、エッジデバイス/エンドポイントデバイスでの推論を加速するHailo-8プロセッサを市場に投入した。Hailo-8には新しいアーキテクチャが用いられている。演算、メモリ、制御ブロックが混在していて、ニューラルネットワークの各レイヤーにおける演算要件やメモリ要件に応じて、ソフトウェアでそれらのブロックを割り当てている。Hailo-8は、26TOPSの演算性能と、2.8TOPS/Wの電力効率を実現するという。
今回の投資ラウンドのおける新たな戦略的投資家には、スイスABBのベンチャーキャピタルであるABB Technology Venturesが含まれている。
ABB Technology Venturesを率いるKurt Kaltenegger氏は「われわれはHailoの製品とチームに感銘を受けており、同社の全く新しい深層学習プロセッサが、さまざまなインダストリー4.0のアプリケーションの発展に役立つのを確信している。産業のデジタル変革を推進するパズルの重要なピースとして、Hailoのソリューションとわれわれの最先端の工業技術を結び付けることを楽しみしている」と述べた。
もう一つの新たな戦略投資家がNECだ。NECは、同社がエッジデバイス向けの映像解析技術とHailoの技術がうまくマッチするだろうと述べた。
Hailoは依然、Hailo-8の戦略的市場として自動車アプリケーションに注力していた。スマートフォン、ドローン、産業ロボティクスといった幅広い市場へのシフトは、ターゲットとするアプリケーションを広げるための戦略的な決定なのだろうか。あるいは、AI技術のあらゆるエレクトロニクスシステムへの継続的な広がりの結果なのだろうか。
HailoのCEOであるOrr Danon氏は「当社は自動車分野から方向転換してはおらず、引き続き同領域での取り組みを拡大している。同時に、われわれの製品を応用できる周辺分野でのビジネス機会も増えている。そうした分野では、エッジで大量に、しかも効率的に推論を行うことが必要になりつつある。そのため、ターゲット市場の拡張を視野に入れているところだ」と述べた。
Danon氏はEE Timesに対し、Hailoが依然として自動車市場に向けて真剣に取り組んでおり、自動車用途に適したHailo-8の量産に移行していると強調した。Hailo-8の量産は2020年前半を予定している。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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