量子コンピューティングシステムを手掛けるカナダD-Wave Systems(以下、D-Wave)は2020年4月1日(現地時間)、新型コロナウイルス(COVID-19)対策などに取り組む人々を対象に、量子クラウドサービス「Leap」を通じ、同社の量子システムへの無料アクセスを提供するプロジェクトを発表した。
量子コンピューティングシステムを手掛けるカナダD-Wave Systems(以下、D-Wave)は2020年4月1日(現地時間)、新型コロナウイルス(COVID-19)対策などに取り組む人々を対象に、量子クラウドサービス「Leap」を通じ、同社の量子システムへの無料アクセスを提供するプロジェクトを発表した。COVID-19に対するソリューション開発を支援することを目的とする。
このプロジェクトは、カナダ政府が各業界に対し、パンデミックへの対処法を求めたことにより発足した。Leapサービスへのアクセスが可能な北米、欧州、アジアの35カ国で、COVID-19の対応に取り組む人々に対し、即時に提供される。
具体的には、D-Waveが2020年2月に発表したばかりの最新サービス「Leap 2」への商業契約レベルのアクセスを無制限で利用できるようになる。Leap 2には、量子および古典的なコンピューティングリソースの両方を活用できるように設計された「ハイブリッドソルバーサービス(Hybrid solver service)」が組み込まれていて、最大1万の変数・全結合を使い複雑な問題を素早く解くことができるという。COVID-19への対処としては、新しい診断法の分析、ウイルス拡散のモデリング、病院のロジスティクスの最適化、物資の分配、医薬品の組み合わせといった領域に、貢献できるとD-Waveは述べている。
今回のプロジェクトには、デンソーや京セラ、東北大学、NECソリューションイノベータ、シグマアイなどの日本企業を含む、D-Waveのパートナーや顧客企業が多く参画している。これらの企業は、プロジェクトを通じて量子コンピュータの使い方や実装方法などの知見を提供する。
東北大学大学院 情報科学研究科 応用情報科学専攻の准教授でシグマアイの代表取締役でもある大関真之氏は、D-Waveのリリースで「実際に、医療崩壊を防ぐべく、重症患者をどの病院に割り振るかという計画を最適化する定式の構築を開始している。この定式はほぼ完成しており、現在評価を行っている」と述べている。
Leapへの無料アクセスに関する詳細は、D-WaveのWebサイトに掲載されている。
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