東芝は、インフラ設備などに取り付けた複数センサーから得られる時系列データについて、時間のずれを自動補正するAI技術「LAMTSS」を開発した。
東芝は2020年6月、インフラ設備などに取り付けた複数センサーから得られる時系列データについて、時間のずれを自動補正するAI技術「LAMTSS(Lag-aware Multivariate Time-series Segmentation)」を開発したと発表した。評価試験により、従来方式に比べて、時刻誤差を10分の1以下にできることを確認した。
インフラ設備や製造装置には、多数のセンサーが取り付けられている。現場に設置されたセンサーで収集したデータを用いて、異常の予知や検知を行うことが一般的になりつつある。近年はIoT(モノのインターネット)技術の進展により、時々刻々と変化する状況をリアルタイムに集めることが可能となった。
ところが、大規模システムではセンサー数も膨大となり、現場の状況を正しく分析するには、収集したデータ間に生じる時間のずれを補正する必要がある。従来はこうした補正作業を人手で行っていたという。
東芝によれば、時系列データを用いた異常の予知や検知には、3つの手法があるという。通常は起こり得ないようなデータ点を検知する「外れ値検知」、異常が起きている部分時系列を検出する「異常状態検出」、そして時系列データのパターンが急激に変化する箇所を検知する「変化点検知」である。
開発したLAMTSSは、この中の「変化点検知」に着目して開発した。多変量時系列データから、複数の時系列データ間に生じる時間遅延を織り込み、その上で設備や機器の変化時刻を検出するというものだ。具体的には、動的計画法に基づく動的時間伸縮法によって、ところどころに発生する微小な波形のピークを自動で合わせ込み、時間のずれを自動補正するという。
東芝によれば、複数のセンサーで収集したデータの時間遅延を自動補正すれば、設備の異常状態をより正確に捉えることが可能となる。これによって、異常発生の原因解析や特定が容易となり、システムの停止時間を最小限に抑えることが可能になるという。
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