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ルネサス、組み込み機器のAI処理に適した新型MPU「RZ/Vシリーズ」を発表

ルネサス エレクトロニクスは、独自のビジョン向けAIアクセラレーター「DRP-AI」を内蔵したマイクロプロセッサ(MPU)「RZ/Vシリーズ」を発表した。第一弾として組み込み機器向けの「RZ/V2M」を開発、一部の顧客に対しサンプル出荷を始めた。

» 2020年06月11日 10時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

電力効率1TOPS/WクラスでAI処理を実行

 ルネサス エレクトロニクスは2020年6月、独自のビジョン向けAIアクセラレーター「DRP(Dynamically Reconfigurable Processor)-AI」を内蔵したマイクロプロセッサ(MPU)「RZ/Vシリーズ」を発表した。第一弾として組み込み機器向けの「RZ/V2M」を開発、一部の顧客に対しサンプル出荷を始めた。

 RZ/V2Mは、CPUとして動作周波数が1GHzの「Arm Cortex-A 53」を2個搭載。また、従来のMPU「RZ/A2M」に搭載している「DRP」の機能を高めた「DRP-AI」を内蔵している。DRPは1クロックごとに演算回路の構成を動的に変更できるプロセッサ技術である。

 DRP-AIは、このDRPと積和演算回路「AI-MAC(Multiply Accumulation)」を組み合わせることで、AI推論用に最適化した。これにより、1TOPS/Wクラスの電力効率でAI処理を実行することができる。これは、従来のDRP処理に比べ約10倍の電力効率だという。ユーザーの学習済みAIモデルを、組み込み機器へ容易に実装するための専用ツール「DRP-AIトランスレーター」も用意する。

 この他、4K画像を毎秒30フレームで処理することができるイメージシグナルプロセッサ(ISP)や顔認識などの画像処理を行う演算回路、H.265/H.264エンコーダー/デコーダーなどを内蔵した。なお、ISPはHDR機能やノイズリダクション機能、ひずみ補正機能を搭載することで、AIの認識精度を高めた。

 インタフェースは、2カメラ同時入力可能なCMOSセンサーインタフェース(SLVS-EC、MIPI-CSI)や高速インタフェース(USB3.1、PCI Express、Gigabit Ethernet)、表示インタフェース(MIPI-DSI、HDMI)などを備えている。

 RZ/V2Mの消費電力は4W(代表値)で、ヒートシンクや冷却ファンなどを用いた放熱対策は不要となり、部品コストも節減できる。パッケージは15×15mmのFCBGAで供給する。

 同社は、産業向けやインフラ向けの監視カメラ、POS端末カメラ、工場内の協調型ロボット、医師の診断をサポートする医療カメラなど、AI技術を駆使して人や物をリアルタイムに認識する必要がある用途に提案していく。

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