最後は「低反射技術」である。フラットパネルディスプレイは、日光が当たったり、強力な光源が映り込んだりすると、極端に見えづらくなる。これを防ぐのが低反射技術であり、古くから反射防止フィルムや偏光フィルムなどが使われてきた。
最近では、タッチセンサーとディスプレイパネルを貼り合わせるときに生じる空気層(隙間)をなくした「ダイレクトボンディング」技術が開発され、普及してきた。ダイレクトボンディングでは、タッチセンサーパネルとディスプレイパネルの間に、光学透明粘着シート(OCA:Optical Clear Adhesive)あるいは光学透明樹脂(硬化性液状樹脂、OCR(Optical Clear Resin))を挟んで隙間をなくす。空気層とパネルの屈折率の違いによる光の反射がなくなるので、反射率が下がる。
さらに、昆虫である蛾の眼(モスアイ)が非常に反射率の低い構造であることを模擬した、「モスアイ型反射防止フィルム」が提案されている。光波長よりも短いピッチの突起構造によって屈折率を連続的に変化させ、波長380nm〜780nmの可視領域で反射率を0.5%未満と低く抑えた。
(次回に続く)
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