今回から、実装設備に対する具体的な要求項目の重要度(順位)を説明していく。まずは「印刷機(スクリーン印刷機)」を取り上げたい。
電子情報技術産業協会(JEITA)が発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」に関する完成報告会(2019年6月4日に東京で開催)と同ロードマップの概要をシリーズでご報告している。今回はその第76回である。
本シリーズの第3回から第22回までは第2章「注目される市場と電子機器群」の概要、第23回から第30回までは第3章「電子デバイスパッケージ」の概要、第31回から第63回までは第4章「電子部品」の概要、第64回から第72回までは第5章「プリント配線板」の概要を説明してきた。
第73回からは、第6章「実装設備」の内容を解説してきた。前回からは、実装設備のユーザー(セットメーカーやモジュールメーカー、アセンブリ受託企業)が実装設備に要求する項目を、JEITAがアンケート調査した結果を順次、ご報告している。前回はアンケート調査そのものの概要を述べた。今回からは、実装設備に対する具体的な要求項目の重要度(順位)を説明していく。始めは「印刷機(スクリーン印刷機)」である。
「印刷機(スクリーン印刷機)」のアンケート調査では、369件の回答を得た。要求項目で重要度が最も高かった(回答点数の合計が最も高かった)のは、「印刷位置精度の向上」である。前回版(2017年度版 実装技術ロードマップ)でも、印刷機に対する要求のトップは同じく「印刷位置精度の向上」だった。今回の国・地域別では「印刷位置精度の向上」は日本で2位、中国で1位、台湾で1位といずれも高い。
チップ部品の小型化が継続しており、量産サイズは0603部品から0402部品へと移行しつつある。このことが、印刷精度向上への要求を押し上げているとみられる。
重要度の第2位は「はんだ量バラツキ低減」である。第1位とともに、はんだ印刷の正確さと安定性を強く重視していることが分かる。日本ではこちらが重要度のトップになっている。
第3位は「高機能マシンの低価格化」、第4位は「マスククリーニング(マスク清掃)機能の性能向上」と続く。高機能マシンではハイエンド機の需要が日本で多く、このことが低価格化の要求を強めているようだ。マスク清掃機能の性能は印刷機のスループットを左右することから、性能向上への意欲が強い。国・地域別では中国で第2位、東南アジアで第3位となっているのが目立つ。
第5位は「段取り時間(マスク交換時間など)の短縮」、第6位は「印刷タクトの高速化」、第7位は「インプロセス制御(印刷条件自動補正)」である。ここまでの第1位〜第7位の順位は前回版(2017年度版 実装技術ロードマップ)と変わらない。
以降は、第8位「廃棄はんだの低減」、第9位「印刷機内の温度管理機能」、第10位「高アスペクト比印刷対応」、第11位「自動はんだ供給」、第12位「部分的に異なる厚みの印刷」、第13位「0402サイズより小さいチップ用印刷の確立」、第14位「マスクレス印刷方法」、第15位「検査機並みの検査機能の内蔵化」である。
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