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はんだ印刷位置の精度向上とはんだ量のばらつき低減が課題福田昭のデバイス通信(268) 2019年度版実装技術ロードマップ(76)(1/2 ページ)

今回から、実装設備に対する具体的な要求項目の重要度(順位)を説明していく。まずは「印刷機(スクリーン印刷機)」を取り上げたい。

» 2020年09月11日 09時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]

印刷機への要求項目とその順位をアンケートで調査

 電子情報技術産業協会(JEITA)が発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」に関する完成報告会(2019年6月4日に東京で開催)と同ロードマップの概要をシリーズでご報告している。今回はその第76回である。

 本シリーズの第3回から第22回までは第2章「注目される市場と電子機器群」の概要、第23回から第30回までは第3章「電子デバイスパッケージ」の概要、第31回から第63回までは第4章「電子部品」の概要、第64回から第72回までは第5章「プリント配線板」の概要を説明してきた。

2019年6月4日に東京で開催された「2019年度版 実装技術ロードマップ」完成報告会のプログラム。本シリーズの第73回から、第6章「実装設備」(プログラムの10番)の概要を紹介している。出典:JEITA(クリックで拡大)

 第73回からは、第6章「実装設備」の内容を解説してきた。前回からは、実装設備のユーザー(セットメーカーやモジュールメーカー、アセンブリ受託企業)が実装設備に要求する項目を、JEITAがアンケート調査した結果を順次、ご報告している。前回はアンケート調査そのものの概要を述べた。今回からは、実装設備に対する具体的な要求項目の重要度(順位)を説明していく。始めは「印刷機(スクリーン印刷機)」である。

第6章「実装設備」の概要。ロードマップ本体から筆者がまとめた。下線部は今回で扱う部分(クリックで拡大)

印刷位置精度の向上が要求項目のトップ

 「印刷機(スクリーン印刷機)」のアンケート調査では、369件の回答を得た。要求項目で重要度が最も高かった(回答点数の合計が最も高かった)のは、「印刷位置精度の向上」である。前回版(2017年度版 実装技術ロードマップ)でも、印刷機に対する要求のトップは同じく「印刷位置精度の向上」だった。今回の国・地域別では「印刷位置精度の向上」は日本で2位、中国で1位、台湾で1位といずれも高い。

 チップ部品の小型化が継続しており、量産サイズは0603部品から0402部品へと移行しつつある。このことが、印刷精度向上への要求を押し上げているとみられる。

印刷機(スクリーン印刷機)に対する要求項目のランキング(第1位〜第7位)。出典:JEITA(クリックで拡大)

 重要度の第2位は「はんだ量バラツキ低減」である。第1位とともに、はんだ印刷の正確さと安定性を強く重視していることが分かる。日本ではこちらが重要度のトップになっている。

 第3位は「高機能マシンの低価格化」、第4位は「マスククリーニング(マスク清掃)機能の性能向上」と続く。高機能マシンではハイエンド機の需要が日本で多く、このことが低価格化の要求を強めているようだ。マスク清掃機能の性能は印刷機のスループットを左右することから、性能向上への意欲が強い。国・地域別では中国で第2位、東南アジアで第3位となっているのが目立つ。

 第5位は「段取り時間(マスク交換時間など)の短縮」、第6位は「印刷タクトの高速化」、第7位は「インプロセス制御(印刷条件自動補正)」である。ここまでの第1位〜第7位の順位は前回版(2017年度版 実装技術ロードマップ)と変わらない。

 以降は、第8位「廃棄はんだの低減」、第9位「印刷機内の温度管理機能」、第10位「高アスペクト比印刷対応」、第11位「自動はんだ供給」、第12位「部分的に異なる厚みの印刷」、第13位「0402サイズより小さいチップ用印刷の確立」、第14位「マスクレス印刷方法」、第15位「検査機並みの検査機能の内蔵化」である。

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