引き続きアンケート結果を紹介する。今回は「マウンタに対する要求と動向」についてで、実装設備の中では最も多い回答件数を集めている。
電子情報技術産業協会(JEITA)が発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」に関する完成報告会(2019年6月4日に東京で開催)と同ロードマップの概要をシリーズでご報告している。今回はその第77回である。
本シリーズの第3回から第22回までは第2章「注目される市場と電子機器群」の概要、第23回から第30回までは第3章「電子デバイスパッケージ」の概要、第31回から第63回までは第4章「電子部品」の概要、第64回から第72回までは第5章「プリント配線板」の概要を説明してきた。
第73回からは、第6章「実装設備」の内容を解説している。前回からは、実装設備のユーザー(セットメーカーやモジュールメーカー、アセンブリ受託企業)が実装設備に要求する項目を、JEITAがアンケート調査した結果を報告している。前回は「印刷機(スクリーン印刷機)」に対する要求とその対策をご紹介した。今回は「マウンタ(部品搭載機)」に対する要求を説明する。
「マウンタ(部品搭載機)」のアンケート調査では、377件の回答を得た。実装設備の中では最も多い回答件数であり、前回版(2017年度版 実装技術ロードマップ)の337件からは40件増えた。
要求項目で重要度が最も高かった(回答点数の合計が最も高かった)のは、「搭載精度維持の自動化」である。前回版でもこの項目がトップで、重要度の高さがうかがえる。今回の国・地域別では「搭載精度維持の自動化」は日本で3位、中国で1位、台湾で1位といずれも高い。業種別でもEMS(Electronics Manufacturing Service:電子機器受託製造サービス)や車載などが重要度の1位にこの項目を挙げている。
重要度の第2位は「高密度化に対応できる実装精度」である。前回の第5位から順位を3つ上げた。搭載部品の小型化と基板設計の高密度化が、重要度を押し上げたとみられる。第3位は「マウンタ起因の部品ズレ、欠品への対策」である。前回の第4位から順位を1つ上げた。第4位は「高精度マシンの低価格化」である。前回の第2位から順位を2つ下げた。
第5位は「実装速度の高速化」である。前回の第6位から順位を1つ上げた。同一形状の発光ダイオード(LED)を1つのモジュールに数多く実装する照明機器や、スマートフォンを大量生産するEMSなどでは機種切り替えの頻度が低い。マウンタ本体の速度が生産性を大きく左右するので、高速性を重視する。
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