大手5社の名称は明らかにしていないが、Samsung Electronics、SK hynix、Micron Technology、キオクシア-Western Digital連合、Intelの5社(厳密には4社と1グループ)とみられる。シリコンダイの製造コストには組み立て(パッケージング)コストとテストコストは含まれていない。
2020年の時点でシリコンダイ製造コストをワード線(メモリセル)の積層数で比較すると、96層の世代が最も低いことが分かる。前世代の64層よりも低く、次世代の128層よりも低い。時間の経過に伴う製造コストの減少ペースは128層品が大きく、2021年には大手5社が最小コストで製造する世代は128層となる。
また2021年に登場する176層のTLC品は、ダイコストが128層品と同じかわずかに低い。さらに次の世代である256層のTLC品は2022年に量産が始まる。256層のTLC品はダイコストが当初から、176層のTLC品よりも低くなると予測する。なお中国YMTCが製造する64層品のダイコストは、大手5社に比べて大幅に高い水準にある。
シリコンダイの製造コストは毎年、下がっていく。新しい技術が毎年のように開発され、採用されている。ただし、製造コストを低減していくための要素技術の導入時期は、3D NANDフラッシュのメーカーによって異なる。
ここで重要なのは、ある世代で製造コストを最も低くできたメーカーが、次の世代でも製造コストを最も低くできるとは限らないことだ。96層世代の覇者が、128層世代でも勝つかどうかは分からない。技術世代ごとに勝利者が異なる可能性は十分にある。
(次回に続く)
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