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衛星と組み合わせる“ハイブリッド5G”、開発に着手米新興企業とLockheed Martin

米国の航空宇宙大手Lockheed Martinと米国バージニア州北部に拠点を置く通信プロバイダーであるOmnispaceは、世界を網羅する衛星ベースの5G(第5世代移動通信)ネットワークの共同開発に向けて検討を進めている。

» 2021年03月31日 13時30分 公開
[George LeopoldEE Times]

 米国の航空宇宙大手Lockheed Martinと米国バージニア州北部に拠点を置く通信プロバイダーであるOmnispaceは、世界を網羅する衛星ベースの5G(第5世代移動通信)ネットワークの共同開発に向けて検討を進めている。

 両社が提案する、軌道を回る5Gネットワークは、消費者や企業、政府のデバイスと接続して、「世界規模のユビキタス通信」と「環境や場所に左右されないモビリティ」を提供するという。

 2021年3月23日(米国時間)に発表された合意には、コロラド州リトルトンにあるLockheed Martinの宇宙部門も含まれている。バージニア州マクリーンのOmnispaceは、2012年に衛星通信業界のベテランが設立し、地上ネットワークと宇宙ベースのネットワークをつなぐ“ハイブリッド”な5Gネットワークを開発している。

 Omnispaceは、プライベートエクイティ企業の支援を受けて2021年初頭に6000万米ドルの資金調達ラウンドを終了した。ベンチャー企業情報WebサイトであるCrunchbase.comによると、Omnispaceはこれまでに1億4000万米ドルのベンチャー資金を調達している。

 Omnispaceの5Gアーキテクチャは、非静止衛星コンステレーションと、地上の5Gモバイルネットワークに接続する同社保有のSバンドスペクトル(2GHz帯)を組み合わせたものである。提案されている宇宙ベースのネットワークは、3GPP無線規格を採用して「デバイスへの直接接続と相互運用性」を実現するという。

 Lockheed Martin Spaceのエグゼクティブバイスプレジデントを務めるRick Ambrose氏によると、「このハイブリッドネットワークは、衛星と地上の(5G)ネットワークを切り替えられるため、複数のネットワークに対して複数のデバイスを用意する必要がなくなる」という。

 このハイブリッドネットワークは、ユビキタスで低遅延な5G接続を実現するとうたっている。

 Omnispaceは最近、米国海軍および海兵隊と協力して、国防総省のイノベーション部門内のプログラムオフィスである「国家安全保障イノベーションネットワーク」向けハイブリッド5Gネットワークのデモンストレーションを行った。同デモンストレーションでは、エミュレートされた5G無線アクセスネットワークを介して、商用の5GデバイスでOmnispaceの衛星に音声/データを送信した。

 同社は、「5G無線サービスの他、IoT(モノのインターネット)接続もターゲットにしている」と述べている。

 最近実施したベンチャー資金調達ラウンドで獲得した資金は、2GHz帯のモバイル衛星サービスの構築および補完的な地上波周波数の確保に使用するという。

 Omnispaceは、「2022年に最初の宇宙ベースの5Gネットワークサービスを開始したい」と述べている。

 Omnispaceのプレジデント兼CEO(最高経営責任者)を務めるRam Viswanathan氏は、「当社のネットワークは、調和のとれた2GHz帯を活用して、世界中のユーザーや産業に5Gサービスを提供する」と述べている。

 Lockheed Martinとのパートナーシップでは、米国のSpaceXが開発を進めている衛星コンステレーション「Starlink」や英国のOneWebのコンソーシアムが手掛ける低軌道ネットワークなど、通信衛星コンステレーションが増加する中で、商用ユーザーのユーザーギャップを埋めることも目指している。これらのシステムは主に、インターネット接続やIoTデバイスへのネットワーク接続の提供に焦点を当てている。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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