ルネサス エレクトロニクスは、独自のAI専用アクセラレーターを内蔵したマイクロプロセッサ(MPU)「RZ/Vシリーズ」の第2弾として、エントリークラスの「RZ/V2L」を発売した。
ルネサス エレクトロニクスは2021年5月、独自のAI専用アクセラレーターを内蔵したマイクロプロセッサ「RZ/Vシリーズ」の第2弾として、エントリークラスと位置付ける「RZ/V2L」を発売した。ISP(イメージシグナルプロセッサ)を外付けしなくても、POS端末やロボット掃除機のビジョンAIを実現することができる。
RZ/V2Lは、第1弾の「RZ/V2M」に比べてAI専用アクセラレーター「DRP-AI」の動作周波数やメモリインタフェースを最適化した。電力性能が高いため、ヒートシンクや冷却ファンなどの放熱対策は不要だという。パッケージは外形寸法が15×15mmと21×21mmのBGAを用意した。これらは、既に販売している「RZ/G2L」とピン互換性があり、AI機能を備えたMPUへのアップグレードも容易である。
RZ/V2Lは、動作周波数が1.2GHzでデュアルまたはシングルコアの64ビット「Arm Cortex-A55」と「Cortex-M33」を内蔵している。AI推論と画像処理を行うDRP-AIは、処理性能が1TOPS/Wレベルで、TinyYOLOv2プログラム実行時に毎秒28フレームを実現。
この他、3Dグラフィックエンジンの「Arm Mali-G31」、16ビット DDR3L/DDR4メモリインタフェース、ビデオコーディック(H.264)といった機能を集積した。RZ/V2Lは既にサンプル出荷を始めた。2021年12月より量産を始める予定である。
RZ/V2Lの開発環境として、AIモデルを実行形式に自動変換するツール(DRP-AI Translator)を無償で提供する。入力フォーマットは業界標準のONNX(Open Neural Network Exchange)を採用した。このため、実績のある学習済みAIモデルを、RZ/V2Lで速やかに評価することができるという。
さらに、ルネサスの製品群を組み合わせたソリューション「ウイニングコンビネーション」を提案。RZ/V2Lの評価ボードも提供を始めた。
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