米国の規制当局は2021年7月2日(米国時間)、 同じ範囲のSoC(System on Chip)製品について、同社が違法で独占的な慣行を行っていると裁定した。米連邦取引委員会(FTC)は、Broadcomがブロードバンドやビデオ用の幅広いチップについて、機器メーカーやユーザーと長期的な独占契約を結んでいると主張したのだ。
通信チップのスペシャリストであるBroadcom は、欧州委員会(EC)の反競争規制当局による2020年の決定からほとんど何も学んでいないようだ。
米国の規制当局は2021年7月2日(米国時間)、 同じ範囲のSoC(System on Chip)製品について、同社が違法で独占的な慣行を行っていると裁定した。米連邦取引委員会(FTC)は、Broadcomがブロードバンドやビデオ用の幅広いチップについて、機器メーカーやユーザーと長期的な独占契約を結んでいると主張したのだ。
同時期に、米連邦通信委員会(FCC)も、国内最大手のテクノロジー企業が市場での地位を乱用し続けているとして非難している。
FTCの競争局で局長代行を務めるHolly Vedova氏は、「米国は独占問題を抱えている。(Broadcomに対する)今回の措置は、主要なブロードバンドコンポーネントの重要市場での独占企業の強引な戦術に反対することで、この問題の対処への一歩となるものだ。やるべきことは山積しており、それに対処するためのツールやリソースが必要だ。FTC のスタッフはこの取り組みに全力を傾けていると確信している」と述べている。
Broadcomに対する措置は、セットトップボックスおよびブロードバンドデバイス向けSoCに関する、サービスプロバイダーおよび機器メーカーの両方との取引および契約を対象としている。
FTCは、「Broadcomは、これらのコンポーネントの世界的な販売の大半(米国市場ではその割合はさらに高い)を担っている、少なくとも10社の主要OEMと独占契約および独占に近い契約を結んでいる」と指摘し、「Broadcomはこれらの契約や高圧的な戦術を通じて、ライバル企業から関連製品市場のかなりのシェアを奪い、これらの市場における競争力を損なった」と強調した。
FTCは、「Broadcomは、これらSoCの一部について長期供給契約を強要し、納期を遅らせたり、納品を完全に停止したり、価格をつり上げたりといった脅しをかけていたと見られる。こうしたやり方で、同市場への新しいプロバイダーの参入を妨げている」と主張している。
同社は特定の顧客に対して、たくさんの選択肢がある他の種類のチップに関しても、Broadcomからのみ、またはほぼBroadcomからのみ購入するよう強要することがあったとされている。具体的には、WLANやストリーミングチップ、その他の種類の通信機器などに対し、こうした強要がなされていたという。
FTCとBroadcomの和解案は、Broadcomに対し今後このような独占契約を行うことを禁止し、競合他社と取引契約をした顧客に対する報復を防ぐものとなっている。
Broadcomは昨年(2020年)にも、欧州委員会の決定により、顧客との同様の契約を中止し、新たな契約を結ばないことを約束せざるを得なくなっていた。欧州委員会は同社に罰金の支払いを強制しなかったが、義務に違反した場合には、Broadcomの収益の最大10%の罰則を課すとした。
今回、BroadcomはFTCと法廷外の和解を成立させ、同社がそのビジネス手法を大幅に変更することを条件に、再び金銭的な制裁金を課さないことになった。
FTCによると、同社は、「従来のブロードキャストやSTB、DSLおよび光ファイバーによるブロードバンドインターネットデバイス向けの主要チップの供給に関して、顧客とある種の独占契約やロイヤルティ契約を結ぶこと」をやめなければならない。 また同社は、「関連チップの供給に関して独占契約またはロイヤリティ契約を結ぶ顧客に対して、これらのチップへのアクセスを条件付けたり、有利な供給条件を要求すること」を止めなければならないとしている。
この命令案ではさらに、Broadcomが同社の競合他社と取引した顧客に報復することも禁止している。
FTCは、問題のデバイスを使用していた大手サービスプロバイダーとして、AT&TやComcast、Verizon、Dishなどを挙げている。
Broadcomは声明の中で、同社の行為が法律に違反していることには同意しておらず、FTCによる同社のビジネスの特徴付けにも同意していないと述べつつ、「この問題を収束させることを楽しみにしている」としている。
和解後、FTC委員長のLina Khan氏は、このような反競争的な行為に対して、FTCがより積極的に取り組むことを示唆した。Khan氏は、FTCの執行能力を制限する2015年の宣言を取り消す投票を主導しており、企業の不正行為をより強く抑止する規則を執行するための手続きが既に進行中であることも示唆している。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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