半導体製品の製造中止について、その手順について、まず考える。JEDEC(J-STD-048: Notification Standard for Product Discontinuance)に、製造中止に関する規格が示されている。それを図4に示す。
図4に示すように、製造中止の通知を出した後、一定期間、最終オーダーを受け付ける。そうして受け付けたオーダーに従って、最終生産を行い、顧客に納入する。納入完了を以て、対象となる製品を製造中止とする。この時の、最終納品までの期間としては、最短で1年、一般的な期間としては、2年程度となっている。つまりこのEOL通知が来た時から1年以内に、最終必要数量を算出し、それを発注することになる。対象になる最終製品が、顧客との契約に基づき製造されている製品であり、契約で総生産数が決められているような場合以外は、それまでの出荷傾向や市場の動向、後継機種の開発状況などを見極めながら、最終的に必要になりそうな数量を決めることになる。
しかしこの時、「どの程度の数量を安全在庫とみるのか」その見極めが非常に難しくなることも事実だ。つまり、「もうこれ以上生産しないので必要以上の在庫は持ちたくない」という気持ちと、「もしかすると、何かの理由や影響で想定以上の在庫が必要となるかもしれない」という気持ち、また、アプリケーションによっては「契約しているメンテナンス期間中に、想定以上の問題が発生した時、交換部品が不足してしまう可能性がある、その場合どうしたらよいか」という懸念点も出てくる。こういった心配点をなくすために、必要以上(場合によっては必要数の数倍以上)の半導体製品を最終オーダーとして発注してきた企業も少なくないはずだ。この対策によって、次機種への移行がスムーズに進めば、事業としては問題ない。
しかしながら、予測通りに収束させられないケースも出てくる。例えば、最終ユーザーからの需要の急激な増加や、次機種の開発遅れによる予定期間を超えた製造継続、メンテナンスが必要な設備における不具合の増加などである。こういったケースでは往々にして予想数量を超える数量が必要になってしまう。このような状況になってしまうと、オリジナル半導体メーカーは製造中止しており、追加発注はできない。契約している販売代理店にも在庫はなく、追加生産ができない状況に陥ってしまい、最終顧客の要求納期に間に合わない事態に陥ってしまう。
企業としては、この状況だけは何とか回避したいと考えるはずだ。これまでは、契約した販売代理店経由で在庫を探していたが、現在は、インターネットも環境も充実しており、世界中の情報を入手することができるようになっている。そのため、インターネットから入手される情報を基に、半導体を販売しているサイトを発見し、そこにある半導体製品を購入しようと考える。しかしながら、そういった販売会社の中には、企業情報もなく、所在地も電話番号もない会社もある。はたしてそういった会社から購入しても良いのだろうか。できれば避けてほしいと思う。
ここで、WSC(世界半導体会議)が提言している文章を示す。
以上のことからも、オリジナル半導体メーカー認定の正規販売代理店からの購入を基本姿勢としていただきたい。半導体製品に限らず、製造中止となることを止めることはできない。必要なのは、そのタイミングが合わない時に、どうするかだと思う。その方法だが、以下の2つが考えられる。
この2つだが、できれば後者の選択をぜひ検討していただきたい。つまり、オリジナル半導体メーカーの在庫がなくなっても、継続的に供給する手段を持っている、オリジナル半導体メーカー認定の販売代理店を利用するという選択だ。この選択であれば、例え在庫がなくなっても、継続的に生産するなりして供給を止めることがない。これにより、余分の在庫を持つ必要がなくなる。
半導体応用機器メーカーは、半導体製品の製造中止や廃品種に対して積極的にアプローチすることにより、生産中断のリスクを軽減し、偽造部品に対しても強い立場を取ることができる。半導体製造中止品の代替ソリューションは、さまざまな障害を引き起こす可能性があり、時には隠れた不整合をもたらす。その中には明らかに認識できるものもあれば、診断が難しいものもある。これらの障害を排除するためには、高い信頼性と費用対効果の大きい選択が必要である。
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