TDKは2021年10月26日、「3225サイズで業界最高水準」(同社)とする大電流対応を実現した車載PoC(Power over Coax)用インダクター「ADL3225VMシリーズ」を開発し、量産を開始したと発表した。独自の構造設計によって、1M〜1000MHzの広帯域で高いインピーダンス特性も実現。「PoC用インダクターに求められる要素を高いレベルで満足した製品で、PoCの大電流化に貢献する」としている。
TDKは2021年10月26日、「3225サイズで業界最高水準」(同社)とする大電流対応を実現した車載PoC(Power over Coax)用インダクター「ADL3225VMシリーズ」を開発し、量産を開始したと発表した。独自の構造設計によって、1M〜1000MHzの広帯域で高いインピーダンス特性も実現。「PoC用インダクターに求められる要素を高いレベルで満足した製品で、PoCの大電流化に貢献する」としている。
近年、車載インタフェースの高速化、高度化に伴って、LVDS伝送の車載カメラシステムなどでは、電源と信号を1本の同軸ケーブルに重畳して伝送するPoC化が進んでいるが、PoC通信で使用されるブロッキングコイルは、信号電流と電源電流を分離するため、広い周波数範囲で高いインピーダンス特性が必要となる。また、車載カメラモジュールに搭載されるセンサーやISP(Image Signal Processor:画像処理装置)の高効率化、高性能化が進むにつれて駆動電流が大きくなっている。TDKは、こうした性能への要求にこたえる製品として、ADL3225VMシリーズを開発したとしている。
具体的には、同社は今回、部材の変更によってコアの透磁率を最適化することで直流重畳特性を改善。従来品であるADL3225VTシリーズと同形状の小型インダクター(3.2×2.5×2.5mm)ながら、1.4倍の大電流に対応可能となったという。同社の説明担当者は、「3225サイズでは業界最高レベルの定格電流を実現した」としている。
また、独自の構造設計によって広帯域で良好なインピーダンスも実現。下図のように、通電時もインピーダンスがほとんど変化することがないという。さらに、金属端子構造およびレーザー接合での継線方式を採用したことで、AEC-Q200に対応する高い信頼性を備えたほか、−55〜+155℃の幅広い温度(自己温度上昇を含む)に対応可能な点も特長としている。
なお、制御ICによって要求されるインピーダンス帯域が異なることから、同社はインダクタンスの異なる2種類の製品をラインアップした。製品は、100M〜700MHzの帯域を主にカバーする2.2μH品と、10M〜600MHzを主にカバーする15μH品だ。
ADL3225VMシリーズのサンプル価格は1個100円。2021年10月に生産開始し、月15万個の生産を予定している。同社は、「今後、さらに高速大容量伝送のニーズに対応したラインアップの拡充を図り、多種多様な車載用機器設計へ対応していく」としている。
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