GPUの供給ネットワークは、2021年第3四半期もジェットコースターのような混乱が続いている。ある業界アナリストは、「ジャストインタイムの在庫管理に過度に依存していることがこの混乱を招いた」と指摘している。
GPUの供給ネットワークは、2021年第3四半期もジェットコースターのような混乱が続いている。ある業界アナリストは、「ジャストインタイムの在庫管理に過度に依存していることがこの混乱を招いた」と指摘している。
米国の調査会社であるJon Peddie Researchが2021年11月22日(米国時間)に発表したレポートによると、2021年第3四半期におけるPC向けGPUの出荷個数は1億100万個だった。これは、前年同期比で12%増という数値にもかかわらず、前四半期比では18.2%減となった。
メーカー別の出荷個数は、NVIDIAが前四半期比8%増と堅調で、AMDは同1.4%減、Intelは同25.6%減となった。
シェアについては、AMDが前四半期比で1.4%増、Intelが同6.2%減、NVIDIAが同4.8%増だった。
Jon Peddie Researchのプリンシパルを務めるJon Peddie氏は、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、ジャストインタイム戦略に過度に依存していた脆弱なサプライチェーンのバランスの崩壊が続いている。サプライチェーンの安定は2022年末までは期待できない。それまでの間にも、予想外のことが起こるだろう」と述べている。
Peddie氏は、「グラフィックスプロセッサのベンダーは従来、クリスマスのショッピングシーズンを控えた第3四半期が最も堅調だ。だが、少なくとも現時点では、市場の季節性は過去のものとなっており、半導体ベンダーの次四半期ガイダンスは、平均2.7%の上方修正にとどまっている」と述べている。
半導体の供給がひっぱくしているため、最近のほとんどの製品と同様に、GPUも平均販売価格が高騰している。Jon Peddie Researchによると、ローエンドのタブレット端末市場では現在、「Google Chromebook」が余っており、予想外の在庫が蓄積しているという。
Peddie氏が「グラフィックス分野はテクノロジー市場の指標である」と指摘するように、ほとんどの半導体ベンダーの次四半期ガイダンスは平均3%ポイントの上方修正となっている。これは、通常の季節性の影響とパンデミックによるサプライチェーンの停滞を反映している。
ノートPCやデスクトップPC、ワークステーションに加え、統合デバイスおよびディスクリートデバイスを含む全体的なGPU搭載率は、125%上昇した。これは、PCの需要が供給を上回る状況が続いたためで、前四半期から7.6%増加した。一方でPC向けCPU市場は、堅調であるはずの第3四半期に、前四半期比で23.1%下落した。その一例がタブレット端末で、出荷台数は前四半期比6.9%減となった。
レポートは、「AMDは、NVIDIAから市場シェアを奪うべく一丸となって努力しているにもかかわらず、過去3四半期のGPU市場シェアは1桁しか増加していない」と伝えている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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