SEMIジャパンは、エレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会「SEMICON Japan 2021 Hybrid」(2021年12月15〜17日、東京ビッグサイト)に関する記者説明会を開催し、展示会のハイライトや半導体製造装置の市場予測などについて説明した。
SEMIジャパンは2021年12月14日、エレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会「SEMICON Japan 2021 Hybrid」(2021年12月15〜17日、東京ビッグサイト)に関する記者説明会を開催し、展示会のハイライトや半導体製造装置の市場予測などについて説明した。
新型コロナウイルスの影響で、前回(2020年)は、オンラインによる「バーチャル展示会」となったSEMICON Japan。今年は「リアル会場」と「オンライン会場」によるハイブリッド方式の開催となった。今回のテーマは「語ろう、次の世界を。」、展示会には共同出展者含め452社/団体が、1358小間に出展する。
DX(デジタルトランスフォーメーション)を支えているのが半導体技術である。コロナ禍で、仕事や教育の現場においてリモートワークが広がった。こうした影響もあり、半導体製造装置や関連材料市場は2020〜2022年と3年連続で拡大する見通しだ。今回はこうした状況下での開催となる。
SEMICON Japan推進委員会の委員長を務めるニコン常務執行役員で半導体装置事業部長 ヘルスケア事業部担当の濱谷正人氏は、「半導体製造装置や材料の分野で世界需要の約40%を日本企業が担っている」とし、展示会で日本企業が発信する最新の情報に注目する。一方で、濱谷氏は業界が直面する課題として「人材不足」を挙げる。会場では、「未来COLLEGE」などの業界研究イベントを「リアル」と「オンライン」で開催するなど、次世代の半導体業界を担う大学生や大学院生に、来場を呼びかける。
SEMIジャパンの代表を務める浜島雅彦氏は、今回の開催概要や見どころについて紹介した。開催初日の「開会式・オープニングキーノート」では、岸田文雄内閣総理大臣がビデオメッセージで登壇する。岸田内閣は2021年度補正予算案に、先端半導体の生産基盤整備として6170億円を計上した他、TSMCの半導体工場を国内に誘致するなど、半導体産業振興に積極的である。
キーノートには岸田総理の他、衆議院議員の甘利明氏や経済産業省商務情報政策局審議官(IT戦略担当)の藤田清太郎氏らが登壇し、日本の半導体産業復活に向けた国家戦略などについて語ることになっている。
展示会場は、「前工程ゾーン」「後工程・総合ゾーン」「部品・材料ゾーン」で構成され、先端テクノロジーや最新の機器/システムが展示される。これに加え、未来の空間を展示する「SEMI FutureVISION」や「FLEX Japan2021」「量子コンピューティングパビリオン」「SEMI 5G/ポスト5Gパビリオン」「新型コロナウイルス対策パビリオン」といった注目の企画展示も行われる。
展示会の説明に続き、SEMIのゼネラルマネジャーで、コーポレートマーケティングおよび、インダストリーリサーチ アンド スタティクスを担当するSanjay Malhotra氏が、「世界半導体製造装置の2021年末市場予測」を発表した。Malhotra氏は冒頭、世界経済の見通しについて、「2021年は世界中の経済が健全なレベルで回復し、年率約6%の成長となる。2022年も約5%増と順調な回復が見込まれている」と述べた。
半導体チップ市場も好調で、2021年は5500億米ドルを超える見込み。特にファウンドリ市場は20%の成長となった。メモリ市場はDRAMの売上高が約46%増加、NANDフラッシュメモリは13%の増加となる。2022年については、半導体チップ市場で約10%の成長を予測する。DRAMは1桁後半から2桁前半の成長を見込み、NANDフラッシュメモリは2桁後半から20%前後の伸びを予測する。
こうした状況から、半導体製造装置需要も高水準で推移する。2021年は約45%増加し、1030億米ドルに達する見込み。「半導体製造装置市場で1000億米ドルを超えるのは初めて」(Malhotra氏)という。2022年も8〜12%の成長を見込み、市場規模は1140億米ドルになると予測した。
装置別に市場を見ると、「ウエハーファブ装置(WFE)」市場は、2021年に過去最高の880億米ドルになった。2022年は約12.4%増の約990億米ドルを見込む。2023年は微減の984億米ドルと予測した。
「テスト装置」市場は、2021年に78億米ドルになった。2020年に比べ約30%の増加になる。2022年は82億米ドルと予測した。「組み立ておよびパッケージング装置」市場については、2021年に80%を超える成長率となり、70億米ドルに達した。2022年は4.4%の成長を見込む。
さらにWFE装置については、その用途別市場も予測した。半分以上を占める「ファウンドリおよびロジック」向けは、2021年に前年比50%増の493億米ドルを見込む。2022年も好調で17%の増加を予測した。「DRAM」向けは、2021年に151億米ドルとなり52%の増加になった。2022年はほぼ横ばいの153億米ドルと予測した。「NANDフラッシュ」向けは、2021年に24%増の192億米ドルになり、2022年は8%増の206億米ドルと予測した。2023年は「DRAM」向けが2%減少、「NANDフラッシュ」向けが3%減になる見通しである。
半導体材料市場も、ウエハーファブ材料とパッケージ材料がけん引車になり、過去最高を記録している。2021年は前年比約11%増の約620億米ドルになった。2022年も7%の成長を見込んでおり、650億米ドル以上になると予測した。
なお、地域別の設備投資では2021年も上位を中国、韓国、台湾の3カ国/地域が占める。特に中国は2020年に初めて首位となったが、2021年もその地位を維持する見通しである。2022年と2023年は台湾が首位に返り咲くとみられるが、これら3カ国/地域は、今後も半導体製造装置業界に大きな影響力を持つとみられている。
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