Amazonはより強力なSidewalkデバイスを発表し、LPWAN(Low Power Wide Area Network)IoT分野への進出を始めている。LoRaWANネットワークの事業者がいつからAmazonの最新動向に注意する必要があるのかは、まだ分からない。だが、Amazonは以前にも業界を揺るがすような変化を起こしている。「Amazon Effect(アマゾン効果)」とは、オンライン販売の激増と実店舗の混乱を招き、それに伴って小売店が不安を抱えることを指す。
IoT事業者は今後、“Sidewalkの急増”を目の当たりにすることになるのだろうか? おそらく、そうなるだろう。
Amazonは、さまざまなアプリケーションに適したIoT専用ネットワークを開発およびサポートできることの重要性をはっきりと認識している。同社は、山火事に関する重要データを初期対応者に提供する大気質監視システムの開発を手掛けるThingyとの概念実証も進めているさなかだ。
当然ながら、大気汚染物質や湿度などを監視するAQ機器を配備することは非常に新しいアイデアで、森林や林地は通常、セルラー基地局やWi-Fiホットスポットの近くにはない。
ThingyのCEO(最高経営責任者)を務めるScott Waller氏は声明の中で、「『Thingy AQ』は、火災現場の作業に電力効率とカバレッジの範囲が極めて重要となる遠隔地向けに設計し、当初からLoRaを使用している。Bridge Proは、膨大な数の機器が必要な場所にLoRa接続を提供し、Amazon Web Servicesの既存アプリケーションと簡単に統合して、デバイスとアプリケーションに信頼できるセキュリティを実現する」と述べている。
米国EE Timesは2021年、IoTへの支出が増加する可能性が高い分野として、山火事の検知を挙げた。カリフォルニアやアマゾンの熱帯雨林など、世界各地で山火事が増加しているため、企業各社は現在、火災の発生を検知可能なセンサーの開発を進めている。
AmazonとThingyは、最初のプレスリリース以上のことは何も明らかにしていない。山火事防止への関心の高まりに伴うIoT支出の拡大や、2021年11月に米国で大規模インフラの法案が可決されたことでIoTに有利な条件がそろったことを考えると、ThingyがAQセンサーをサポートするために展開するBridge Proデバイスの台数や、ユニットの価格、展開する場所を注視していく必要があるだろう。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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