半導体不足が続いているにもかかわらず、半導体工業会(SIA:Semiconductor Industry Association)が2022年3月3日(米国時間)に発表したデータは、半導体売上高の伸びを示している。また、米国の市場調査会社IC Insightsの調査によると、需要の増加が続いていることを受け、業界の設備投資額も史上最高を記録する見通しだという。
半導体不足が続いているにもかかわらず、半導体工業会(SIA:Semiconductor Industry Association)が2022年3月3日(米国時間)に発表したデータは、半導体売上高の伸びを示している。また、米国の市場調査会社IC Insightsの調査によると、需要の増加が続いていることを受け、業界の設備投資額も史上最高を記録する見通しだという。
SIAが発表した2022年1月の半導体市場に関する最新レポートによると、同月の半導体市場は前年同月の400億米ドルから26.8%増となる507億米ドルに達した。ただし、2021年12月の509億米ドルと比べると、0.2%減とわずかに減少している。
半導体売上高が急増しているのは米国だけではない。欧州や中国、アジア太平洋地域、日本ではそれぞれ、前年比28.7%、24.4%、21%、18.9%増の成長を達成している。
SIAのプレジデント兼CEO(最高経営責任者)を務めるJohn Neuffer氏は、「2022年1月の世界半導体市場は10カ月連続で前年と比べて20%以上増加した。米国への売上高は前年から40.2%増加しており、全ての地域の市場をリードしている」と述べている。
IC Insightsによると、半導体需要の増加に伴って、半導体業界の設備投資も増加する見通しだという。データでは、2022年の半導体設備投資は前年比24%増加し、総額で1904億米ドルに達すると予測されている。これは3年前と比べると全体で84%の増加となる。
IC Insightsは、「多くの企業は、サプライチェーンの緊迫に対応して、特に半導体業界における需要の大幅な増加に対する全面的な備えをしていなかった」と説明している。こうした需要の増大に対応するために、半導体製造工場の稼働率は大きく上昇しており、多くの企業が事業存続には製造能力への投資が必要だと認識している。
IC Insightsは最新の調査報告書の中で、「需要の急増によって、ほとんどの製造施設は稼働率が90%を上回り、半導体ファウンドリーの多くは稼働率100%で運営している。このように稼働率が高く、高い需要が今後も続くと予想されることから、半導体業界の2021年と2022年の設備投資額は合計で3443億米ドルに達すると予測される」と述べている。
IC Insightsは、2022年に半導体設備投資の増額を予定している計13社をサンプリングした。これら13社は、設備投資を平均で40%以上増額する計画で、投資総額は前年比51%増となる918億米ドルに上ると予想される。例えばIntelは、2022年の設備投資額が270億米ドルに達し、前年比41%増になると予測されるほか、TSMCも同年の設備投資額が420億米ドルに達し、昨年比40%増加すると予測している。
IC Insightsによると、注目すべき点は、最大手のメモリメーカーがリストに含まれていない一方、主要なファウンドリー企業が含まれている点だ。
IC Insightsは、「上位3社のファウンドリー専業企業(TSMC、UMC、GlobalFoundries)が含まれている一方、メモリメーカー大手3社(Samsung Electronics、SK hynix、Micron Technology)がリストに含まれていないのは興味深い点だ。さらに、リストの多様性を示すように、上位5大アナログICメーカーのうち4社(Texas Instruments、Analog Devices、Infineon Technologies、STMicroelectronics)が2022年に大幅に支出を拡大する予定だ」と述べている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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