テスラの肖像(左)とワイヤレス電力伝送の特許に描かれた送受信器(中央)、実験中の風景(右)[クリックで拡大] 出所:imecおよびEindhoven University of Technology(IEDMショートコースの講演「Practical Implementation of Wireless Power Transfer」のスライドから)
世界初のワイヤレス電力伝送実験に成功
電磁波による電力伝送に初めて成功したのは、1931年の実験だろうとVisser氏は講演で述べていた。米国のハレル・ノーブル(Harrell V. Noble, 1907年4月14日生〜1982年10月6日没)が1931年に実験で電力を伝送してみせた。ノーブルは電機メーカーであるウエスチングハウス(Westinghouse Electric and Manufacturing Co.)の高出力真空管研究所(High Power Tube Laboratory)につとめる研究者で、後に米国空軍の電子技術に関する研究所でディレクターとなる。
ウエスチングハウスは1933年に始まったシカゴ万国博覧会に出展し、同社のブースで電磁波による電力伝送をデモンストレーションしてみせた。Visser氏が業界団体WPC(Wireless Power Consortium)で講演したときのスライドには、送信出力が1.5kW、送信周波数が100MHz、送信アンテナは半波長ダイポール、伝送距離は5〜10mとある。
ノーブルの肖像(左)とワイヤレス電力伝送の実験デモンストレーション(右)。受信用のアンテナに電球を取り付けて電球を光らせた[クリックで拡大] 出所:imecおよびEindhoven University of Technology(IEDMショートコースの講演「Practical Implementation of Wireless Power Transfer」のスライドから)
ワイヤレス電力伝送の過去から未来までを展望
今回から、「IEDM 2021」でオランダimec Holst Centreでシニアリサーチャー、オランダEindhoven University of TechnologyでフルプロフェッサーをつとめるHubregt J. Visser氏が講演した「Practical Implementation of Wireless Power Transfer(ワイヤレス電力伝送の実用的な実装)」の内容を紹介する。