バックコンバーター(降圧型コンバーター)の代表例として、ここでは下図のようなスイッチングレギュレーターを考えよう。スイッチング素子であるトランジスタ、定電圧ダイオード、コイル(インダクタンス)、出力平準化用コンデンサ、負荷(load)で構成される。
直流バックコンバーターの例(降圧型スイッチングレギュレーター)と基本動作。上はスイッチが閉じている状態、下はスイッチが開いている状態[クリックで拡大] 出所:imecおよびEindhoven University of Technology(IEDMショートコースの講演「Practical Implementation of Wireless Power Transfer」のスライドから)トランジスタがオンの(スイッチが閉じている)期間は電流iが流れ、コイルに電気エネルギーが蓄えられるとともに、コンデンサが充電される。トランジスタがオフになるとコイルは蓄えられた電気エネルギーを放出して電流iを流し続ける。そして再び、トランジスタがオンになる。
スイッチングレギュレーターは電力損失が小さく、効率が高い。また大電流に対応できる。一方で雑音が大きいという弱点がある。
製品には、これらの昇圧回路と降圧回路の両方を搭載した品種が少なくない。ここではTexas Instruments(TI)の「BQ25570」を取り上げる。スイッチドキャパシタ(チャージポンプ)方式の昇圧コンバーターと、スイッチングレギュレーター方式の降圧コンバーターを内蔵した。
昇降圧コンバーター「BQ25570」の内部ブロック[クリックで拡大] 出所:imecおよびEindhoven University of Technology(IEDMショートコースの講演「Practical Implementation of Wireless Power Transfer」のスライドから)⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧
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