板厚ばらつきを抑えたGOFCは、2017年から出荷しているABM接合用の無酸素銅条で、耐熱性の高さが特長。ABM接合の熱処理工程で750〜800℃程度の熱にさらされた場合でも結晶粒の粗大化を防ぎ、結晶粒を小さいまま維持できる。一般的な無酸素銅条は、500℃程度の熱で、結晶粒が粗大化した。結晶粒が粗大化すると、超音波顕微鏡(SAT)でのテスト時に超音波の反射が少なく、チップと絶縁基板を接合するはんだ内のボイド検出が難しくなる。結晶粒が小さければ、SATの超音波の反射が増え、はんだ内のボイド検出感度が高まるという利点がある。「SATでの検査が不明瞭でボイドがないことを証明できずに、不良品として出荷を見送るといったケースが少なくないと聞いている」とし、GOFCを使用することでそうした『見なし不良品』を削減できるという。
その他、GOFCはヤング率が低く、チップ剥離率を低下させやすいといった特長を持つ。
古河電工では今回、GOFCでの板厚ばらつきを抑えたことで、より信頼性の高いパワー半導体を実現できる無酸素銅条として、拡大が続くパワー半導体での需要を取り込んでいく方針。2022年度下期には、2020年度実績の2倍に相当する月間50トン以上の出荷を計画している。
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