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» 2022年07月28日 11時30分 公開

投資初心者が見つけた“黄金の組み合わせ”「お金に愛されないエンジニア」のための新行動論(5)(7/7 ページ)

[江端智一,EE Times Japan]
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「わが国に未来はない」と考える若者たち

後輩:「江端さんが『心底から「死んでくれないかな」と思うに至ったアホ上司』って、”ヤツ”ですか?」

江端:「そうだ。”ヤツ”だ。私の10年上の先輩から10年下の後輩に至るまで、パワハラを与え続け、多くの研究員を退職や病院送りにした”ヤツ”だ。私もめったなことでこんなことは言わないようにしているが、いまだに、”ヤツ”が『息をしている』と思うだけで、腹が立つ*)

*)ちなみに、”ヤツ”に関する、江端への問い合わせは一切禁止とします。問い合わせてきたら、その文面を無許諾で公開します。

後輩:「江端さんの『あとがき』を読んで、とても爽快な気持ちになってしまいましたよ ―― この『あとがき』が今回の本編と、どういう関連があるかはさておき、実にさわやかな読後感です」

江端:「いや、ちゃんとレビューしてもらえないと困るんだが」

後輩:「そうですねえ、今回の江端さんのコラムを読んで感じたことは、『投資世代のタイミングの難しさ』ですね」

江端:「タイミング?」

後輩:「だって、江端さん。考えてみてくださいよ。あのバブルの時期に、インデックス投資 ―― という金融商品は、まだなかったかもしれませんが ―― をしているやつがいたら、『バカ』って言われたに決まっていますよ。あの時代、株や土地の値段は”上がる”ことが決まっていました。そもそも、十分な収入があって、預金の必要すらない、と思えるほどの好景気だったじゃないですか」

江端:「確かに、あの時代に『ほったらかし投資』とか言ったら、バカ扱いされていたことは、間違いないな」

後輩:「インデックス投資は、長期間投資で、今の時代にマッチしていて、その投資を開始するタイミングは早ければ早いほど良いです ―― が、これほど、若者にとって魅力のない金融商品もないでしょう。ひとことで言えば『地味』ですから」

江端:「若い世代こそが、最強の投資家になれるのにもかかわらず、インデックス投資は、彼らにとって、最もやる気の出ない金融商品、と ―― なるほど」

後輩:「で、江端さんのように、完全にスタートを切り損ねたシニアが、今頃になって、そのすごさ(価値)に気が付く、というわけです。江端さん、この連載、20年前に始めていれば良かったですね」

江端:「EE Times Japanに声をかけてもらったのさえ、10年前だから、それは無理というものだが。それに20年前に、私が、今の悲惨な状況(お金に愛されないエンジニア)になる未来を、想像できたかも、ものすごく疑わしい」

後輩:「うん、分かります。若い頃の、あの訳の分からない『なんとかなるさ』という気持ち、一体どこから湧いてきたんでしょう?」

江端:「タイムマシンで20年前に戻って、自分に説教できたらなぁ……」

後輩:「いや、江端さん。仮にタイムマシンがあったとしても、江端さんは、20年後の自分の話、絶対真面目に聞かないと思います。『私は、あんたみたいにはならない』とか思いながら、未来の自分の説教を聞き流します」

江端:「私もそう思う。本当に、あの根拠のない未来への自信は、一体どこからやってきたんだろう……」



後輩:「ただ、江端さん。最近の若者は、ちょっと違うかもしれませんよ」

江端:「ん?」

後輩:「彼らの話を聞いていると、わが国に未来に対する信頼感の欠如は、想像を絶するものがあります」

江端:「『わが国の未来を信じられない』ということ?」

後輩:「正しくないです。彼らは『わが国に未来はない』という前提で行動しているんですよ。彼らは、現在の行政サービスが全て消え失せた日本国をイメージしているんですよ ―― 話をしていて、正直怖くなりました」

江端:「それって、国が悪いとか、政治家が悪いとか、そういう次元の話ではなくて――」

後輩:「ええ、もう、彼らには、そういうオブジェクト(対象)が”ない”んです。そりゃ、オブジェクトがなければ、選挙に行く必要もないですよね。彼らの低い選挙の投票率は、極めて合理的な行動の結果と言えます。いくら、江端さんが、若者を煽(あお)っても無駄なんですよ*)

*)筆者のブログ

江端:「じゃあ、この私のコラムの読者層は、シニアではなくて、むしろ、若者にミートする、ということかな?」

後輩:「いや、そんな「すてき」な話ではありません ――

江端さんの今回のシリーズ、『今ごろ、何言ってんの、この人?』と、若い世代から、失笑され、冷笑され、嘲笑され、爆笑されている可能性すらあります


Profile

江端智一(えばた ともいち)

 日本の大手総合電機メーカーの主任研究員。1991年に入社。「サンマとサバ」を2種類のセンサーだけで判別するという電子レンジの食品自動判別アルゴリズムの発明を皮切りに、エンジン制御からネットワーク監視、無線ネットワーク、屋内GPS、鉄道システムまで幅広い分野の研究開発に携わる。

 意外な視点から繰り出される特許発明には定評が高く、特許権に関して強いこだわりを持つ。特に熾烈(しれつ)を極めた海外特許庁との戦いにおいて、審査官を交代させるまで戦い抜いて特許査定を奪取した話は、今なお伝説として「本人」が語り継いでいる。共同研究のために赴任した米国での2年間の生活では、会話の1割の単語だけを拾って残りの9割を推測し、相手の言っている内容を理解しないで会話を強行するという希少な能力を獲得し、凱旋帰国。

 私生活においては、辛辣(しんらつ)な切り口で語られるエッセイをWebサイト「こぼれネット」で発表し続け、カルト的なファンから圧倒的な支持を得ている。また週末には、LANを敷設するために自宅の庭に穴を掘り、侵入検知センサーを設置し、24時間体制のホームセキュリティシステムを構築することを趣味としている。このシステムは現在も拡張を続けており、その完成形態は「本人」も知らない。



本連載の内容は、個人の意見および見解であり、所属する組織を代表したものではありません。


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