分野別の売り上げを見ていこう。WDは売り上げを3つの分野に分けて公表している。すなわち、「クラウド(Cloud)」(パブリックあるいはプライベートのクラウド向け)、「クライアント(Client)」(直接販売、あるいは代理店経由の販売によるOEM向け)、「コンシューマー(Consumer)」(リテールそのほかの販売チャンネルによる一般消費者向け)、の3つである。
「クラウド」分野の売上高は前四半期比(前期比)18%増、前年同期比5%増の20億9800万米ドルとなった。全体の売り上げに占める比率は前期から6ポイント上昇して46%となった。クラウド分野の主力製品であるニアラインHDDの売り上げは前年同期と比べて7%増えた。18TB品と20TB品の販売が継続して伸びている。エンタープライズSSDは売り上げを前期に比べて2倍に伸ばした。前年同期との比較でも38%増と大きく伸ばした。
「クライアント」分野の売上高は前四半期比(前期比)5%減、前年同期比14%減の16億3700万米ドルである。全体の売り上げに占める比率は前期から4ポイント下降して36%となった。クライアントHDDの売り上げは前期比で減少が続く。フラッシュ応用品の売り上げは前期とおおむね変わらない。
「コンシューマー」分野の売上高は前四半期比(前期比)9%減、前年同期比23%減の7億9300万米ドルである。全体の売り上げに占める比率は前期から2ポイント下降して18%となった。主にリテール販売のHDD製品がふるわない。
次は製品分類別の業績である。WDは「フラッシュ応用品」と「HDD製品」の売上高や粗利益率(Non-GAAPベース)などの数値を公表してきた。
2022会計年度第4四半期(2022年4月〜6月期)における「フラッシュ応用品」の売上高は前四半期比(前期比)7.0%増、前年同期比0.8%減の24億米ドルである。粗利益率は35.9%で、前の四半期と比べて0.3ポイント上昇した。
フラッシュ応用品のビット換算の出荷容量は、前の四半期から6%増加した。記憶容量当たりの平均販売価格(GB単価)は、全製品(Blended)で前四半期から2%上昇し、同一製品(Like-for-like)では前四半期と比べて微増だった。GB単価が上昇するのは4四半期ぶりである。
2022会計年度第4四半期(2022年4月〜6月期)における「HDD製品」の売上高は前四半期比(前期比)0.47%減、前年同期比14.9%減の21億2800万米ドルである。粗利益率は28.2%で、前の四半期と比べて0.5ポイント上昇した。
HDD製品の販売台数はクラウド向けが930万台、クライアント向けが390万台、コンシューマー向けが330万台である。前の四半期と比べ、いずれも減少した。クラウド向けは40万台減、クライアント向けは180万台減、コンシューマー向けは110万台減である。
HDD製品全体の販売台数は1650万台である。前の四半期と比べて330万台減少した。HDD製品の平均販売価格(ASP)は120米ドルである。前の四半期から19米ドル増と大きく上昇した。
なお次回は、SeagateとWDの2022会計年度業績(2022年6月通期決算)の概要をお伝えする予定である。
⇒「福田昭のストレージ通信」連載バックナンバー一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.