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早すぎたスマートフォン「IBM Simon」の詳細(1994年)福田昭のストレージ通信(234) フラッシュメモリと不揮発性メモリの歴史年表(15)(1/2 ページ)

前回に続き、IBMが開発した世界で初めてのスマートフォン「IBM Simon Personal Communicator」の詳細をご紹介する。

» 2022年09月16日 11時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]

(ご注意)今回の内容は前回の続きです。まず前回を読まれることを推奨します。



アナログ携帯時代に移動体通信とハンドヘルドPCの融合を構想

 前回は、IBMが開発した世界で初めてのスマートフォン「IBM Simon Personal Communicator」(「Simon」(サイモン))の開発経緯をご紹介した。1992年11月にIBMが試作機を展示会に出品して大きな反響を呼んだことから、製品の開発が決まる。1994年8月に携帯電話サービス企業のBellSouth Cellular(以降はBellSouthと表記)が発売し、1995年2月に販売を休止するまでに累計で5万台を販売した。

世界初のスマートフォン「Simon」(サイモン)の開発経緯。「Simon」の開発チームを率いたFrank Canovaの個人サイト「Simon history」などの公表資料からまとめたもの[クリックで拡大]
「IBM Simon Personal Communicator」の外観。充電器に載せたところ。外形寸法は、高さ8インチ(約20.3cm)×幅2.5インチ(約6.35cm)×奥行き1.5インチ(約3.8cm)とかなり大きい。本体の重量は8オンス(約510グラム)と軽くはない 出所:Bcos47, Public domain, via Wikimedia Commons

 今回は、「Simon」の概要と機能、内部構成をご報告する。今から約30年前、携帯電話システムがアナログ方式であり、インターネットがほとんど商用化されていない時代に開発されたスマートフォンとは、どのような製品だったのか。少し詳しく見ていこう。

500グラム強、高さ20cm強とかなりの巨艦だった「Simon」

 「Simon」の外形寸法は高さ20.3cm×幅6.35cm×奥行き3.8cmである。かなり高さがあり、しかも厚い。本体の重量は510グラムもある。片手で持ったまま通話していると、腕が疲れそうだ。

 当時のハンドヘルドPCおよび後世の「iPhone」(初代機、2007年)と比較すると、iPhoneが小さくて薄くて軽いのはもちろんだが、携帯電話機能を持たないハンドヘルドPC「PalmPilot」が小さくて軽いことに、いささか驚かされる。「Simon」と「Newton MessagePad110」は、外形寸法と重量ともにかなり近い。

ハンドヘルドPC(PDA)(1990年代半ば)と「iPhone」(初代機)(2007年)の比較表。各種の公表資料からまとめたもの[クリックで拡大]
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