複数のアナリストが米国EE Timesに語ったところによると、中国に対する半導体戦争における米国の最新の一撃は、中国国内の半導体メーカーを何世代にもわたって後退させ、半導体および製造装置のグローバルサプライヤーは、中国からの需要の大幅な減少によって何十億米ドルもの売上損失を被ることになるという。
複数のアナリストが米国EE Timesに語ったところによると、中国に対する半導体戦争における米国の最新の一撃は、中国国内の半導体メーカーを何世代にもわたって後退させ、半導体および製造装置のグローバルサプライヤーは、中国からの需要の大幅な減少によって何十億米ドルもの売上損失を被ることになるという。
米国のジョー・バイデン政権は、40年以上前の冷戦時代の政策を強化している。中国との新たなライバル関係の中で、米国は、経済発展と軍事的優位に不可欠な半導体技術という新たな戦線における中国の発展を凍結することを目指している。
米国の最新の規制では、冷戦時代に40カ国以上との間で締結されたワッセナーアレンジメントに基づき、NVIDIAとAMDによる中国のスーパーコンピュータ向けGPUの輸出と、半導体製造ツールや設計ソフトウェアの販売を禁止している。
英国に拠点を置く市場調査会社Arete Researchのシニアアナリストを務めるBrett Simpson氏はEE Timesに対し、「今のところは、米国の輸出規制は中国の半導体産業の発展を妨げているといえるだろう」と語った。
同氏は、「中国はより高度なノードでファウンドリー産業を発展させているが、今回の制裁によって一時的に追い込まれる形になった。中国の主な解決策や対応は、独自の機器エコシステムを構築することだが、これには、特に材料科学やリソグラフィなどの分野で、数十年にわたる欧米の研究開発を習得する必要がある。これは長く困難な道のりになるが、常に主要な解決策であり、制限によって変わるものではない」と述べている。
米国の最新の措置は、中国最大の半導体メーカーであるSMICを何年も後退させる可能性が高い。
株式非公開の商社およびテクノロジー企業であるSusquehanna International Group(SIG)のシニアエクイティリサーチアナリストを務めるMehdi Hosseini氏は、EE Timesが入手した投資家向けの報告書に、「SMICがEUV(極端紫外線)リソグラフィなしで7nmプロセスの半導体を製造できるという”戯れ言“が聞かれることはあったが、費用対効果に説得力がなく、SMICの最先端製造の範囲は限定される」と記している。
「SMICは20年以上にわたりTSMCやUMCなどに追い付こうと努力してきたが、ほとんどまたは全く成功していないことを、投資家に思い起こさせる」(Hosseini氏)
Hosseini氏は、TSMCやSamsung Electronics(以下、Samsung)などの半導体メーカーや、ASMLなどの半導体製造装置サプライヤーの調査を担当している。
Dentons Global Advisorsのシニアバイスプレジデントを務めるPaul Triolo氏は、「TSMCやSamsung、Intelなど、現在中国で事業を展開している多国籍半導体メーカーは、中国での製造を約1年間継続する許可を米国から得ている。その後は中国での事業を段階的に縮小することを余儀なくされる可能性が高い」述べている。
Triolo氏は、「中国国内で製造を行う中国以外の多国籍企業は、現在短期的な救済措置を施されていても、最終的には中国で稼働を継続していくことが難しくなるだろう。継続的に技術向上していく力がなければ、中国拠点の施設は結局のところ競争力を失い、徐々に衰えていく市場に対応することになる」と述べる。
Simpson氏は、「中国は、製造能力の面でサポートを受けるために、TSMCをはじめとする台湾のファウンドリーに依存しなければならなくなる」と指摘する。
「このような制裁措置は結局、中国が要となっている世界サプライチェーンに対し、さらなる課題を生み出すだけだ。中国の在庫レベルは今後も上昇し続けるとみられ、今のところ解決を見いだすことができない状況にある」(Simpson氏)
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