Hosseini氏は、「米国が2022年10月7日に発表した輸出規制が重大な節目となって、米中間の新たな冷戦が激化していくだろう」と述べる。
「米国は同盟諸国との協議を開始したばかりのようだが、われわれの見解としては、今後間違いなく中国国外での半導体生産量が増加していくであろうことが分かる」(Hosseini氏)
同氏は、「それでも米国と中国は、切っても切れない関係にある。米国は、中国との貿易に依存しているからだ。今後も、この重大な分岐点を進んで行くのは非常に複雑で難しいため、損失が生じる可能性や最終的な成果を数値化するための明確な方法が見つからないまま、不確実な状況が続くことになるだろう」と述べる。
技術調査会社TechInsightsのアナリストであるDan Hutcheson氏は、EE Timesの取材に応じ、「今後5〜10年の間に、引き続き中国との分断が進んで行くだろう」と述べている。
「グローバル企業は、実際に今後5〜10年の間に中国とのビジネスが実際にゼロになる可能性があるという事態に備える必要がある」(Hutcheson氏)
Hutcheson氏はまた、「今回の規制は、日本のように中国との貿易に依存している同盟国との関係にもひずみを与えそうだ」と指摘する。
「同盟国が今回の規制を守っていないことは、しばしば見受けられる。それらの国では、国内に同規制に従わない機器メーカーがある。バイデン政権は多国間アプローチを試みたが、日本政府はまだ多くの製品が中国へ輸出されることを許している」(同氏)
EE Timesが2022年9月に報じたように、米国は日本、韓国、台湾と情報を共有し、中国への輸出を厳しく管理する「Chip 4」同盟の設立を推進しているが、この計画はまだ予備的な段階だ。
Hutcheson氏は、「中国メーカーはより高いコストを支払うことで、必要な技術を手に入れることができる。それは中国メーカーの成長を鈍化させ、世界を支配する力も弱める。中国のやり方は、過剰な生産能力を構築し、市場に製品をあふれさせ、全ての競争相手を廃業に追い込むものだ」と述べる。
Triolo氏は、「中国が半導体製造装置の国内供給を構築する取り組みは実現困難だ」と述べている。
Triolo氏は、中国の半導体製造装置メーカーが 『キャッチアップする』ことは非常に難しい」と、ASMLのような業界リーダーとの技術格差が大きいことを指摘する。「今回の規制は、中国国内の装置メーカーへの投入も含むため、より高い技術水準に移行する能力が鈍ることになる」
さらに、同氏は、「中国の半導体メーカーが規制の影響を受けているため、中国国内の装置メーカーには、国内外を問わず、開発や競争のための行き場がない」とする。
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