TSMCは2022年11月9日、米国アリゾナ州で2番目の工場となり得る施設を建設中であると明かした。TSMCは2022年に、約120億米ドルを投資して、アリゾナ州に5nmプロセスノード対応工場を建設すると発表している。
TSMCは2022年11月9日、米国アリゾナ州で2番目の工場となり得る施設を建設中であると明かした。TSMCは2022年に、約120億米ドルを投資して、アリゾナ州に5nmプロセスノード対応工場を建設すると発表している。
TSMCは米国EE Timesへのメール取材に対し、同施設が「現在建設中」であり、より高いコスト効率を達成するのに役立つと語った。
米国ではCHIPS法(正式名称:CHIPS and Science Act)により、半導体製造の再建に向けた国家的努力が続いている。TSMCは、その一環として、米国における工場投資の波をけん引する存在だ。2024年にTSMCのアリゾナ第1工場が生産を開始すると、米国では最先端となる5nmチップが製造されることになる。
TSMCの広報担当者であるNina Kao氏は発表の中で、「同施設により、将来的に拡張するための柔軟性を確保することができるが、“第2工場”に関する最終的な決定には至っていない」とコメントしている。「TSMCの先端技術に対する強い顧客需要を考慮し、アリゾナでの生産能力のさらなる強化も検討する」(同氏)
世界的な投資銀行で半導体調査を担当する業界アナリストによると、アリゾナ第2工場となれば、3nmノードがターゲットになるようだ。同アナリストは、台湾の投資銀行に関する規制のため匿名を希望した。
同アナリストは、EE Timesに提供したレポートの中で、「TSMCの3nmは、HPC(高性能コンピューティング)とモバイル分野でかなり高い需要がある。そのため、台湾では2nmを立ち上げる中、(アリゾナでの)第2段階で2025〜2026年ごろの量産を目指して3nmラインを立ち上げるというのは理にかなっている」との見解を語った。
アナリストによると、TSMCの米国の顧客基盤は、先端パッケージングプロセスと組み合わせたチップレットアーキテクチャの売り上げにおいて、約3分の2を占めているという。
さらに、「TSMCの台湾のファブクラスターは、同社が規模の経済を達成し、1nmノードへのロードマップを維持するために役立つだろう」と付け加えた。TSMCは、台湾が半導体分野でのリードを維持し、グローバルなサプライチェーンで不可欠な存在であり続けることを期待し、最先端の技術は台湾に維持する計画だと述べている。
米国は、TSMCやSamsung Electronicsなど、半導体産業における海外のリーダー企業から、より多くの投資を呼び込むことを目指している。世界の半導体製造量における米国のシェアは2022年時点で12%で、いまだにアジアのシェアが高い。
TSMCの売上高は、半導体業界が低迷する中で急増している。同社は2022年10月、同月の売上高が2021年10月比で56%増加し、2100億ニュー台湾ドル(約9535億円)になったと発表した。2022年1〜10月までの10カ月での売上高は1兆8486億ニュー台湾ドル(約8兆3800億円)で、2021年の同期間に比べ44%増となっている。
なおTSMCは2022年10月、スマートフォンなどの民生機器の需要見通しが悪化していることから、2022年の設備投資を、同年7月に発表した400億米ドルから360億米ドルに削減すると発表した。
【翻訳、編集:EE Times Japan】
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