式典後に開催された記者説明会でBhatia氏は、1β DRAMの開発/製造について「広島工場では過去3年にわたり膨大な資金を投入して1β DRAMの開発に取り組んできた。今後少なくとも2年間は、毎年10億米ドル以上を投資して1β DRAMの量産体制を強化していく計画だ」と語った。Micronは、1β DRAMの生産増強において日本政府から最大約465億円の助成金交付を受ける予定になっている。Bhatia氏は「日本政府からの助成金交付には感謝している。支援金は1β DRAMの製造に一部活用するが、生産増強に関する大半の投資はMicron自身の資金によって行うものだ」と付け加えた。
なおMicronは、今後10年間で1500億米ドルをR&Dに投資する計画だが、広島工場への投資額については、「具体的な金額は開示していない」(Mehrotra氏)とした。
Micronは、1β DRAMではマルチパターニングの液浸リソグラフィ技術を採用しているが、2024年以降の立ち上げを予定している1γnm世代については、EUV(極端紫外線)リソグラフィ技術を導入する予定であることを明らかにしている。一方で、日本では高圧ガス関連の法律によりEUVリソグラフィ装置の輸入に障壁があるともいわれる。Bhatia氏は「広島工場での将来的なEUV導入の可能性も見据え、高圧ガスのコンポーネントの承認に向け、キーサプライヤーや日本政府に働きかけをしている」と語った。
Mehrotra氏は昨今のメモリ/ストレージの市況について、「今は厳しい状況だ」と述べた。「幅広い分野の顧客が在庫調整の時期に入っており、需要が減速している。パンデミックや、ロシアによるウクライナ侵攻、急激なインフレなど、現在はマクロ経済の影響で需給バランスが崩れている。Micronはそうした環境に対応すべく、既に対応を始めており、必要に応じてさらなる調整を行う。われわれは需要に応じて供給を適切にコントロールすることに注力しているが、需給バランスが正常に戻るまでには数四半期を要するだろう」(同氏)
なおMicronは2022年11月16日(米国時間)、DRAMとNAND型フラッシュメモリの供給量を、2022年8月期第4四半期(2022年6〜8月)比で約20%削減すると発表している。併せて、設備投資の追加削減も検討しているとした。
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