ところで、最近、政府は国民に投資を勧めていて、今や世間では、『NISAとかiDeCoとか使って、投資をやらないやつはバカ』というような風潮があるみたいです ―― いや、さすがにそれは言いすぎか。
ところが、国民が貯金を削って、投資に回すと、大変ヤバいことが起こると思うのです ―― 赤字国債が発行できなくなるのです。
国債とは、現在の日本国が乱発している借金の証文です。日本の国債は、誰でも(外国の人でも)買うことができるのですが、ほとんどは日本で買いまくられています(日銀が半分、銀行と生保で35%、海外投資家は、わずか13%程度です)。
なんで、日本の銀行が国債を買いまくれるか、というと、私たちが、投資に目もくれずに、せっせと預金しているからです。
私たちが預金を取り崩して投資に回したら、銀行のお金が減ります。銀行のお金が減れば、銀行は、日本の国債を購入できなくなります。すると、我が国は赤字国債の発行ができなくなって、財源が確保できなくなって、積んじゃうんじゃないの?と思いました。ちょっとググってみたのですが、この考え方はそれほど大きく外れていないようです(参考)。
もしかしたら、政府は、国民に、ただ単に「投資しろ」といっている訳ではなく、「貯蓄を減らさずに、投資で必ず勝て(絶対に負けるな)」と、都合のいいことを要求しているんじゃないかな? ―― と考え始めたら、政府の意図する「理由」と「カラクリ」が見えてきたような気がしました。
つまり、国民に「いちかばちかの一発勝負”でない”投資」、つまり「比較的安全な投資」をさせたい、生活が立ち行かなくなって自己破産や生活保護になっては困るだろう ―― と考えたら、NISAとかiDeCoのセコい上限金額(120万円/年と、40万円/年)の理由が、ストンと肚に落ちてきました。
日本の労働人口の7割、ざっくり5000万人が、年間100万円を投資に回したとします。もちろん、損をする人もいますが、投資信託などで平均年率1%が、(可能であれば外貨で)ゲットできるとすれば、日本国全体として、年間5000億円(0.5兆円)が、不労所得として手に入るわけです。
これで、国債の利率とトントンになり、それを超えれば、さらにラッキーです。 なにしろ、5000万人全員が同時に負けることなど、ありえないからです(大数の法則)。
―― これ、姑息(こそく)だけど、悪くない国家経済戦略じゃね?
と、思いました。
つまり、(1)外国の経済成長、(2)制限付きの少額投資、そして、(3)日本の人口の母数を頼りとする人海戦術を使った「確率論に基づく期待値戦略」です。日本の経済がダメダメでも、これなら何とかやっていけるような気がします。
この戦略で特に重要なのが、上記(2)(3)の少額投資家の大量参加です。今、高校で始まっている投資教育が、いかに重要なものかが、私にも分かってきました。国民の三大義務「教育」「勤労」「納税」に、もう一つ「投資」を加えて、四大義務としてもいいくらいかも、とさえ思えてきました。
『これからの100年間、赤字国債を発行し続けるための、日本国民全員参加による不労所得獲得戦略』
うん、こういう全体主義的政策なら、私は喜んで一口乗らせて頂きます。どこぞの国の、抜き打ち徴兵制に比べれば、人道的で穏健な政策だと思います。
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