RISC-Vプロセッサについては、Tenstorrentは「Ascalon」というプロセッサを既に設計している。2023年末にはAscalonの試作品を発表できる見込みだという。Ascalonは、アウトオブオーダー実行を行うプロセッサで、命令デコード幅は8-wide。256ビットのベクトルユニットと、FPU(Floating Point Unit)をそれぞれ2基搭載するという高い性能を持つことが特長だ。Ascalonは、HPC(High Performance Computing)やサーバなどエンタープライズ向けの設計になっているが、命令デコード幅を2-wide、3-wide、4-wide、6-wideにシュリンクしたバージョンもそろえる。「消費電力や用途に応じて使い分けられるようになっている」(中野氏)。さらに、Ascalonを複数組み合わせたクラスターを構成することもできる。

左=「Ascalon」のアーキテクチャ/右=RISC-Vプロセッサの設計IPでは、命令デコード幅が異なる5種類(図中では色の付いた枠で囲んでいる)を用意している[クリックで拡大] 出所:TenstorrentTenstorrentのAIアクセラレーターやRISC-Vプロセッサの他、他社のFPGAやメモリなどを組み合わせ、チップレットのIPとして提供することもできる。「チップレットでは、テープアウトまでサポートする」(中野氏)
Tenstorrentのターゲットの一つが自動車だ。中野氏は一例として、車内でリアルタイムに推論を行うADASや、車載インフォテインメントを挙げた。「当社のIPを使うことで、プロセッサの開発期間を大幅に短縮できる他、チップレットによって機能を容易にチューニングできるようになる。小規模から大規模まで同一アーキテクチャで対応できるので、開発ノウハウの流用や開発工数の削減にも貢献する」(中野氏)。Tenstorrentは車載アプリケーションに向けて、評価用ボードやマシンも提供している。
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