ロームは幅広いアプリケーションに対応する、650V耐圧GaN HEMTについても2023年4月に量産開始を発表した。
同製品は、台湾・デルタ電子の関連会社でGaNデバイスを開発するAncora Semiconductors(アンコラ)と共同開発したもので、「業界トップクラス」(同社)とするデバイス性能指数(ドレイン-ソース間オン抵抗×入力容量/ドレイン-ソース間オン抵抗×出力容量)によるスイッチング損失削減の他、ESD保護素子の内蔵によって静電破壊耐量を3.5kVに向上している点などを特長としている。
さらに650V耐圧品では、ゲートドライバーなどのLSIをGaNデバイスと同じパッケージに集積するSiPの提供も進めていく。LSIとGaNデバイスとの距離を縮めることで寄生インダクタンスや寄生容量を減少し、スイッチング損失や信頼性などの課題を解消、「デバイスの性能を最大限に発揮する」としている。山口氏は、「(ロームは)もともとIC出身の垂直統合型半導体メーカー(IDM)であること、そして、技術のすり合わせにおいてGaNデバイスとアナログICのエンジニアの距離が非常に近いことを強みとして、われわれの製品は競合と比べても高い性能を実現している」と話していた。
650V耐圧GaN HEMTとゲートドライバーを集積したSiPは、2023年6月にも量産開始する予定で、その後PFCコンバーター、QRフライバックコンバーターなども続々と展開していくという(下図)
同社LSI事業本部電源LSI事業部電源LSI商品設計6課課長の名手智氏は、「現在先行メーカーはいるが、GaNはまだ生成期だ。もう数年するとデファクトスタンダードが決まってくるかもしれないが、それまでがロームの勝負だと思っている」と語っていた。
ロームはSiCパワー半導体についても引き続き注力している。今回、PCIMのブースでは、車載市場での採用事例や、大電力に対応する車載向けパワーモジュールを展示していた。
また、8インチのSiCウエハーなども展示し、IDMとしての強みを強調していた。
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