キーサイト・テクノロジーは、次世代通信技術に関する展示会「COMNEXT 2023」で光電融合デバイス測定ソリューションの展示を行った。光導波路の挿入損失特性、偏波依存性、反射減衰量特性において高い再現性と高速な測定を実現したという。
キーサイト・テクノロジー(以下、キーサイト)は、2023年6月28日〜30日に開催された次世代通信技術に関する展示会「COMNEXT 2023」で、光電融合デバイス測定ソリューションの展示を行った。「低遅延」「大容量化」「低消費電力」なネットワーク実現を目指すIOWN(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)構想の実現に向け、光電融合デバイスの利用が拡大することを見据える。
光導波路の測定には特有の課題がある。コネクターインタフェースがないため、適切に光信号を入出力することが困難で、位置再現性や剛性の高い調芯装置が必要だ。また、導波路の材料や寸法の違いで偏波依存性が変わる。光導波路の測定では再現性を高め、高速で計測を行うことが重要となる。
キーサイトの光電融合デバイス測定ソリューションは、これらの課題を解決するものだという。キーサイトの波長可変レーザー光源「N7778C」と偏波シンセサイザー「N7786C」、高速光パワーメーター「N7745C」に、FormFactorの光学プローバーを組み合わせたもので、光導波路の性能として重要なパラメーターである挿入損失特性、偏波依存性、反射減衰量特性において、高い再現性と高速な測定を実現したという。
光電融合デバイス向け測定用光源は、波長挿引測定において「高出力パワー」「波長/出力パワーの再現性」「高速挿引」「反射耐性の高さ」が求められる。キーサイトの N7778Cはピーク出力が+12dBm以上と、自然放射レベルよりも75dB/nm以上高い。波長挿引時の出力再現性は±0.01dBで、最大200nm/秒の双方向掃引における波長再現性は±1.5pm。コヒーレンスコントロール機能により、線幅を50MHz以上に設定できる。同社担当者によると「反射の影響を抑えて安定した出力を提供することができる。高スループットの製造現場での部品検査やコヒーレント伝送実験にも使用されている製品だ」という。
偏波依存性が高い光電融合デバイスの挿入損失を測定する際は、偏波を考慮した特性評価が必要となる。偏波シンセサイザーのN7786Cは、ニオブ酸リチウムタイプの高速偏波制御機構と、出力信号の偏波状態をモニターするアナライザを搭載。これらの機能を組み合わせることで、出力偏波状態を任意に設定し、偏波状態を安定させることができるという。偏波状態は最大40kHzで切り替えが可能。また、同社提供のソフトウェア「N7700100C」と組み合わせると、波長範囲50nm、波長ステップ30pmの挿入損失と偏波依存損失を約3秒で測定し、挿入損失の最大値と最小値を算出することができる。キーサイト説明担当者は「高スループットの測定環境は、開発工程において大幅な時間短縮に貢献する」とした。
光電融合デバイス測定環境における光パワーメーターは「再現性の高さ」「ダイナミックレンジの高さ」「偏波依存性の低さ」に加え、デバイス内に複数の出力ポートが存在するケースがあるため、複数のポートを同時に測定できることが求められる。キーサイトが展示した高速光パワーメーターのN7745Cは、測定パワーの不確かさが±2.5%。「非常に高い再現性と測定確度で、損失測定を正確に行える」(同社担当者)という。ダイナミックレンジは60dBで、パワーレンジを切り替えることなく共振器や変調器などの測定を一度に行うことができる。偏波依存性は0.01dB。読み取り速度1MSPS(メガサンプル/秒)のポートを8個搭載しており、連続でのデータ取得が可能だ。「光電融合デバイスなどの光マルチポートコンポーネントの特性評価において、高い測定スループットを実現している」(同社担当者)という。
これらを組み合わせたソリューションについて、キーサイト担当者は「波長可変光源による高速挿引と、高速に偏波を変化させて光信号の変更状態を確認できる偏波シンセサイザー、外部トリガー信号と同期して測定できる光パワーメーター、これらの測定器を制御するソフトウェアによって、再現性が高く高速な測定を実現した」と説明した。
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