名城大学は、サウジアラビアKAUSTと共同で、「トンネル接合による積層型GaInN系モノリシック型RGBフルカラーμLEDアレイ」を開発した。高精細かつ高輝度のディスプレイを実現できることから、メタバースなどの用途に向ける。
名城大学理工学部材料機能工学科の岩谷素顕教授と竹内哲也教授、上山智教授のグループは2023年8月、サウジアラビアKAUST(King Abdullah University of Science and Technology)の大川和宏教授グループと共同で、「トンネル接合による積層型GaInN(窒化インジウムガリウム)系モノリシック型RGBフルカラーμLEDアレイ」を開発したと発表した。高精細かつ高輝度のディスプレイを実現できることから、メタバースなどの用途に向ける。
仮想的なデジタル空間のメタバースを実現するため、臨場感や没入感のある映像を表示できる「ヘッドマウントディスプレイ」や「スマートグラス」の開発が進んでいる。これを可能にするディスプレイ素子には、VR(仮想現実)用途で画素サイズ10μm角以下、輝度は3000nit以上、AR(拡張現実)やMR(複合現実)用途では同様に数百ナノメートル角以下、数万nit以上の仕様が必要といわれている。しかし、これまでは高精細化と高輝度化を両立させることが極めて難しかったという。
研究グループは、化学組成を制御すれば単一材料でRGB(赤、緑、青)を実現できる「GaInN」に注目した。有機ELなどに比べて高い輝度が得られ、微細化も可能となるためだ。ただ、素子の接続方法や赤色LEDを作製することが難しいため、モノリシック化が課題となっていた。
そこで今回、高輝度の赤色LEDについては、長年開発に取り組んできたKAUSTの協力を得た。その上で両グループは、トンネル接合という方法を用い、同一基板上にR、G、BのLEDを積層したウエハーを作製。これをμLEDに加工し、発光させることに成功した。μLEDの輝度は数万nitを超えることから、微細化を進めれば、高精細かつ高輝度のメタバース用ディスプレイを実現できるという。
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