トレックス・セミコンダクターは2023年10月18日、600mA 降圧DC-DCコンバーター「XC9290/XC9291シリーズ」を販売開始した。独自の制御方式を採用することで、高速応答や超低ノイズを実現した。実装面積は3.52mm2と「世界最小クラス」(同社)だ。
トレックス・セミコンダクター(以下、トレックス)は2023年10月18日、出力電流が600mAの降圧DC-DCコンバーター「XC9290/XC9291シリーズ」を発表した。XC9290は、PWM(パルス幅変調)方式に対応し、XC9291はPWM/PFM(パルス周波数変調)自動切替制御に対応した製品だ。
XC9290/XC9291シリーズは、電圧制御方式に同社独自の「HiSAT-COT」を採用することで高速応答や低ノイズを実現した。
HiSAT-COTは、PWM制御が持つ周波数安定度の高さ(低ノイズ)と、COT(Constant On Time)制御が持つ過渡応答の速さの両方を兼ね備えた電圧制御方式だ。過渡応答は、従来のPWM方式と比較して10倍以上向上している。そのため、コンデンサー容量を大幅に低減できるので、0.6×0.3mmサイズのセラミックコンデンサーや1.0×0.5mmサイズのインダクターでも安定して動作する。小型の受動部品を使えるので、実装面積を3.52mm2(2.2×1.6mm)と、「世界最小クラス」(同社)に抑えられているという。
周辺への電磁干渉(EMI)が小さいため、高密度実装時の周辺デバイスへの影響が少ないことも、実装面積の小型化に貢献している。
パッケージはLGA-6B01(1.2×1.2×0.3mm)/WLP-5-08(0.96×0.88×0.33mm)を採用している。
入力電圧範囲は2.5〜6.0Vで、出力電圧範囲は0.7〜3.6V。動作温度範囲は-40〜105℃だ。発振周波数は、4MHz/6MHzの2つから選択できる。4MHzでは、入力電圧3.7V、出力電圧1.8Vで90%の高効率を実現していて、バッテリー寿命の延長や発熱の低減に貢献する。アプリケーションは、民生機器やIoT(モノのインターネット)機器、医療機器などを想定している。サンプル価格は154円(税別)で、2023年10月18日から販売を開始している。販売目標は初年度が100万個、2〜3年後には年間300万個とする。
担当者は、顧客からの反応について「世界最小クラスの実装面積を中心に、非常に評価されている。既に引き合いも多く、採用が決まった企業もある」とし、これから検討する顧客に向けて「トレックスは、デバイスを販売するだけでなく、実装時の配置などレイアウト面のサポートも行っている。回路設計の知識が少ないベンチャー企業や、効率的な回路設計に課題がある企業なども、ぜひ一度試してもらいたい」と語った。
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