Yoleは、戦略的にポートフォリオを拡大する化合物半導体基板メーカー各社の動向もまとめている。WolfspeedはSiCパワーデバイス用の供給に向け、8インチSiC基板製造への移行や材料生産キャパシティーの拡大を進めている。
Coherentはフォトニックデバイスのキープレーヤーとして台頭していて、パワー向け、RF向けの両方でSiC基板サプライヤーとして市場において圧倒的な存在感を示しているという。同社はRF GaNでは住友電工デバイス・イノベーションと、パワー用SiCデバイスではGeneral Electricと提携することで、基板からデバイスまでバリューチェーン全体で競争力を高めているという。
Yoleによると、GaAsとInP、半絶縁性SiC基板で優位にあるAXTや住友電気工業、Freiberger、SICCの4社は他材料への事業拡大で収益増加を狙っているという。各サプライヤーはRFやフォトニクス、マイクロLED用途でのGaAs基板とInP基板の相乗効果に注目している。
化合物半導体の製造技術は、基板の大口径化をはじめとしたさまざまな領域で発展してきている。SiCは現在も6インチ基板が主流だが、Wolfspeedは8インチ工場に12億米ドルの投資を行い、2023年第1四半期の収益に好影響を与えた。研究開発面では、SiC基板の歩留まり向上に焦点を当てたものが多く、Soitecの「SmartSiC」や住友金属鉱山の子会社サイコックスによる「SiCkrest」など、独自技術を用いたエンジニアリング基板も開発されている。一方、Infineon Technologies(以下、Infineon)などの主要なIDM(垂直統合型デバイスメーカー)は、ブールや基板の分割技術に注力している。
GaNパワーデバイスには主に6インチGaN-on-Siが採用されていて、8インチGaN-on-SiはInnoscienceやSTMicroelectronics、Infineonなどが拡大を進めている。新規技術については、縦型GaNのほか、QST基板などの新しい基板を使った性能向上を目指した研究開発が進んでいる。
InPフォトニクスは成長段階にある市場で、Yoleは、AIブームに後押しされた高データレートのレーザー需要によって、6インチInP基板への移行が加速する可能性があるとしている。GaAsではマイクロLED向けの8インチ基板の製造が模索されているものの、歩留まりと製造効率の課題に直面しているという。
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